最高出力147kW(200ps)というパワーを発揮するレクサス『GS450h』の駆動用モーター。トルクが違うため単純比較はできないが、仕事率ではもはや電車の並みの強力さである。その性能を実現させたテクノロジーが、リダクション機構の採用である。
小型モーターで高出力を得るため、トヨタは昨年発売した『ハリアーハイブリッド』(米国ではレクサス『RX400h』)において、リダクション(減速)ギア付きの駆動モーターを実用化した。モーターを超高回転型にしてパワーを稼ぎ、細くなったトルクを減速ギアによって増強するという方式だ。このテクノロジーによって、モーターの寸法を大きくすることなく、高出力化を実現した。
GS450hの駆動用モーターにもリダクションギアが採用されているが、さらに減速比をハリアーの固定式から2段変速式へと進化させている。モーターは回転が高まるにつれてトルクが減少するため、高速走行では効率が落ちる。そリダクションギアの減速比を切り替え式にすることで、高速域でも有効トルクの大きな領域を使って動力性能を高め、さらに高速回転によるエネルギー損失も抑えることができるのだ。
メルセデスベンツが現在開発中のハイブリッドカーは高速用、低速用の2基のモーターを装備するという技術情報があるが、減速比の切り替えによって高速走行に対応するトヨタ方式のほうが現時点で進んでいると言える。