てんかん発作の軽視が死亡事故に?

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2001年10月、山形県山形市内の県道で、てんかん発作が原因の死亡ひき逃げ事故を起こしたとして、業務上過失致死と道路交通法違反の罪に問われている49歳の医師の男に対する論告求刑公判が13日、山形地裁で開かれた。

検察側は裁判所に対し、懲役2年を求刑している。

問題の事故は2001年10月10日に発生している。同日の午後9時5分ごろ、山形市城南町1丁目付近の県道を走行していた53歳の女性の運転する原付バイクに対し、後続の乗用車が追突した。

追突された弾みでバイクは転倒。女性は路上に投げ出されたが、乗用車はこの女性を底部に巻き込んだまま約25mに渡って走行。女性を振り落とした後はそのまま逃走している。

女性は近くの病院に収容されたが、全身を強く打っており、間もなく死亡が確認された。

目撃情報などから、同市内に住む49歳の医師の男が容疑者として浮上。クルマにも事故の痕跡が確認され、業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕された。

だが、男は調べに対して「事故のことは知らない」という供述を繰り返したが、後に男には「てんかん」の持病があり、事故の当日にもてんかん発作によって意識を失った可能性が高くなった。

男は事故を起こす直前に軽いめまいを感じ、てんかん発作を抑える薬を服用した。しかし、これを発作の予兆と重視せずに運転を続けた結果、意識を喪失。前走する女性のバイクに衝突したものとみられている。

13日に行われた論告求刑公判で、検察側は事故直前に感じためまいについて、これをてんかん発作の前兆だったと定義。「被告はてんかん発作の前兆を意識しつつ、それにも関わらずクルマの運転を行ったのは注意義務違反に当たる」と指摘した。

さらに「医師でありながら人命を軽視し、救護義務を怠って逃走した罪は重い」として、裁判所に対して懲役2年の実刑判決を求めた。

弁護側は「事故直前に感じためまいを発作の前兆と認識することは難しい」と反論。情状の酌量を求めている。

《石田真一》

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