自転車の2人乗りを注意した警官を暴行し、公務執行妨害と道路交通法違反(自転車2人乗り)の罪に問われていた22歳の男に対する判決公判が15日、京都地裁で開かれた。裁判所は被告に対し、執行猶予付きの懲役刑と罰金5000円の支払いを命じている。
問題の事件は4月8日に発生した。
同日の午後、京都市右京区西院追分町付近で自転車で2人乗りをしている男をパトロール中の京都府警・右京署員が発見。署員は男に対して「今すぐ2人乗りをやめなさい」と注意した。
ところが男はこの注意を無視して逃走。署員は約350m離れた地点に先回りして待ち構え、逃走を防止するためにハンドルに手を掛けた状態で再度の注意を行った。
男は警官のこの行為に激怒。「ハンドルから手を離せ」などと怒鳴りながら、警官の顔を殴打したため、公務執行妨害の現行犯で逮捕。道交法違反(自転車2人乗り)と合わせ、後日起訴された。
自転車2人乗りで起訴に至るケースは珍しいが、今回は公務執行妨害が主となっていることや、検察が「被告は自転車の2人乗りは正当だと誤認しているため、自転車2人乗りも道交法違反に該当することを知ってもらうため、合わせて起訴に踏み切った」と説明していた。
15日の判決公判で、京都地裁の武田正裁判官は「被告は自転車2人乗りは許されているものだと誤認しており、これを警察官がことさら注意することに腹を立てて暴行に至った」と、改めて指摘した。
その上で「警察官を殴打するというのは悪質だが、本人も2人乗りが違法だということを認識しており、反省している」として情状の酌量を認め、被告に対して懲役1年(執行猶予3年)、罰金5000円の支払いを命じた。