これまでボクサーエンジン一筋で勝負をしてきたBMWは1983年、大きな勝負に出る。重責を担ったのは『K100』&『K100RS』のニューモデルだ。
水平直列4気筒というシリンダーを90度ヨコに寝かせた珍しいレイアウトの新エンジンを搭載。世界的なハイパワーブームに打ち勝つために開発されたユニットながら、単にパワーだけを狙ったものではなかった。
排気ガスのクリーン化を踏まえると、既存のボクサーエンジンでは思い通りの性能を発揮させることが難しいとBMWは判断したからだ。その目論見は見事に的中し、結果として長寿を誇るエンジンとして育っていく。
「スポーツツアラークラスにはなくてはならないエンジン」(BMW2輪商品企画・武藤昇さん)の言葉通り、低速域から滑らかに回り、高速域では力強い走りを生み出す4気筒エンジン。連続した高速走行には得難いキャラクターだ。
当時、巷では「ボクサーエンジン以外はBMWじゃない」という声もささやかれたが、販売台数が増えるにしたがって、それもトーンダウンしてきたといわれている。
エンジンから数えれば3世代目となる『K1200GT』は、ベースモデルの『K1200RS』のロングツーリング版ともいえる位置付け。「よりラグジュアリー」(武藤さん)な走りを堪能するため、ハンドル位置を若干上に、そして手前にセットすることで、上体が起きた安楽なポジションをとることが可能になった。RSではオプション扱いとなるパニアケース(サイドバッグ)も、GTには標準で装備されている。(つづく)