職務質問の警察官、不審車両にはねられ殉職

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3日、大阪府大阪市北区内の市道で、信号無視をした乗用車の運転者に対して職務質問しようとした警察官がこのクルマにはねられ、死亡する事件が起きた。

乗っていた2人組の男は現場から徒歩で逃げたが、警察では同日午後に出頭した44歳の指定暴力団組員の男を殺人と公務執行妨害の容疑で逮捕している。

大阪府警・捜査1課、同・天満署によると、事件が起きたのは3日の午前3時20分ごろ。これより約10分前の午前3時10分ごろ、大阪市北区堂島1丁目付近をパトロールしていた天満署・地域課のパトカーが、赤信号を無視して走り去ろうとした乗用車を発見。ただちに追跡を開始した。

乗用車は近くのビルの地下にある駐車場に逃げ込もうとしたが、すでに営業時間が終了してシャッターが下りており、入口付近のスロープで立ち往生した。パトカーが後方で退路を塞ぐ形で停車したが、乗用車は執拗にバックしてこれに体当たりした。

この際、助手席側に乗っていた50歳の巡査長が隙をみて飛び出し、警棒で乗用車の後部ガラスを叩き割った上で「止まれ、止まるんだ」と命じた。しかし、乗用車を運転していた男はこれを無視。今度はこの巡査長に向かってクルマを体当たりさせた。

巡査長は乗用車にはねられ、スロープに倒れこんだが、強引にUターンした乗用車は巡査長の体を引きずったまま加速。底部に巡査長を挟みこみ、乗用車はその後も前後進を繰り返して巡査長の体を乗り越えようとしたが断念。乗っていた男2人はクルマを放置して徒歩で逃走した。

巡査長は病院に運ばれたが、出血性ショックなどが原因で事件発生から約3時間30分後に死亡。警察では殺人と公務執行妨害事件として、天満署内に捜査本部を設けて本格的な捜査を開始した。

また、これと並行して容疑車両を検分したところ、取り付けられていたのは変造ナンバーと判明。さらには車内から覚せい剤とみられる結晶や、拳銃の実弾が発見され、このクルマが何らかの事件に関与している可能性が濃厚となった。

さらには指定暴力団の44歳組員名義の運転免許証も発見され、逃げた男の特徴とよく似ていることから、この男が運転していたものと断定し、その行方を追っていた。

男は同日の午後、天満署に「自分がやった」と出頭し、その場で緊急逮捕されている。取り調べに対しては「覚せい剤を隠し持っているのが発覚すると思って逃げだ」と話しているという。

警察では男が事件当時に覚せい剤を使用していた疑いについても調べるとともに、事件当時に助手席に乗っていて、一緒に逃亡した20歳代前半とみられる男の行方についても追及し、その足取りを追うとしている。

《石田真一》

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