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Part 3 History 初代から6代目までBMW 3 シリーズの軌跡をたどる 初代BMW 3 シリーズが登場したのは1975年。それから現在に至るまで、3 シリーズは自ら切り拓いたスポーツセダンというジャンルの理想を追求しながら、代を重ねるごとに大きく飛躍し、このクラスの指標であり続けている。その進化の過程を、時代と共に肌で感じ続けてきたモータージャーナリスト、菰田 潔が歴代の 3 シリーズを振り返る。 文:菰田 潔
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1975年に登場した初代 3 シリーズ

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初代 3 シリーズ(E21)は1975年に登場。ヘッドライトは320が4灯式、316と318が2灯式だった

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初代 3 シリーズ(E21)。写真は1982年に登場したエントリーグレードの315

 

BMW 2002という車名を聞いたことがあるだろう。コンパクトなボディにパワフルなエンジンを搭載してキビキビ走るBMWらしさは、この02 シリーズから定着したものだ。その後1975年にこの走り味を継承した初代の 3 シリーズ(E21)が誕生した。すでにこのときから丸いヘッドライト、キドニーグリル、ホフマイスターキンクと呼ばれるCピラーのカーブはBMWのデザインアイデンティティだった。2ドアセダンが基本車種だったが、この当時からカブリオレもボディバリエーションに加わっている。

 

世界のスポーティモデルがサスペンションを真似た

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2代目 3 シリーズ(E30)は1982年にデビュー

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3 シリーズ(E30)を使った当時のBMW ドライバー・トレーニング

 

初代 3 シリーズと1983年に登場する2代目 3 シリーズ(E30)は、フロントはストラット式、リヤはセミトレーリングアーム式というサスペンション形式を確立。これを見て、世界中のスポーティモデルを生産するカーメーカーがBMW形式を真似るようになった。

 

2代目3 シリーズは日本でも爆発的に売れ、BMWの名前をポピュラーにした。2ドアセダン、4ドアセダン、ツーリング、カブリオレ、そしてATや4WDもラインナップに加わった。ABSもすでにこのモデルから採用されていたから、いまにして思えばBMWの安全に関する考え方はかなり進んでいたのだ。

 

サスペンションとタイヤの性能は年を追うごとに向上

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3代目 3 シリーズ(E36)

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ボクがチーフインストラクターを勤めるBMW ドライバー・トレーニング(2012年からはBMW ドライビング・エクスペリエンスと名称変更した)を日本で開講した当時は、2代目の 3 シリーズがトレーニング・カーだった。このころはスピンの体験もしやすかったが、年々サスペンションとタイヤの性能が向上し、トレーニングでもスピンしにくいクルマになっていった。

3代目の 3 シリーズ(E36)は、Z1用に開発されたセントラルアームリヤアクスルを採用した。正確にはスタビライザーの位置が前後で違うが、ほぼ同一サスペンションである。この形式はセミトレーリングアームと違って、タイヤのグリップが強くなってもトウ変化が少ないので安定性が高い方式だった。また3代目 3 シリーズはボディデザインがこれまでと大きく異なり、BMWがプレスドアを採用した初めてのモデルになった。しかしこのあとプレスドアはいっさい使われていない。製造上の寸法合わせや風切り音対策で苦労したので懲りたようだ。またヘッドライトも中身は丸いライトだったが、そとは四角いカバーが付けられていた。