---- 携帯電話ビジネスの世界では、FMC(Fixed Mobile Convergence: 固定通信とケータイの融合)が起きています。コンバージェンス、すなわち連携もしくは融合というのが最近の潮流ですけれども、VMCのコンセプトもそこにあるのでしょうか。
中村 現在、PCからのブロードバンド(インターネット)接続ユーザーが6416万人、携帯電話のユーザーが約9000万人、そしてカーナビの累計出荷台数が約2000万台ほど。これらは従来、別々に使われていたわけですけれど、使っているユーザーは同じです。だったら、サービスやインターフェイスが共通化されて、連携している方が相乗効果が生まれる。これがコンバージェンス(連携・融合)という考え方であり、VMCもその中にあります。
---- 一人のユーザーで複数のサービス端末を串刺しにする、と。
中村 ユーザー視点で見れば、コンバージェンスはむしろ当たり前のサービスですけどね(笑) 携帯電話業界でも歴史の古い考え方で、'90年代から、1契約でデバイスに寄らずにどこでもサービスが使える、というコンセプトの研究は存在していました。
---- しかし、そういった連携型のサービスは、異なるデバイスやビジネスの歩調があう必要がある。'90年代では環境がついてこない、という状況だったわけです。
中村 ええ。その後、'99年からモバイルの世界で技術とサービスが急進し、狂ったように爛熟してしまったので、ちょっと置き去りにされていたのです。それが10年の時を経て、もう一度、見直されているのが今なのです。
---- クルマもまた、例外ではない?
中村 そうです。FMCのコンセプトをクルマに広げて、新たなサービスやベネフィットを生み出すものとして、VMCを提唱しました。
《インタビュアー:神尾寿(通信・ITSジャーナリスト)》
《写真:石田真一》
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