top interview by Teruo Ikehara
トヨタとの競争、燃費で負けるな
――トヨタとの現地生産の分担には、基本的な考え方のようなものはありますか。

箕浦 それは国や地域によってケース・バイ・ケースですね。例えば、トヨタさんの工場があり、ダイハツは販売網だけという地域で、小さい車の需要が増えてきたとします。しかし、トヨタさんの事業戦略から見て「T」(トヨタ)バッジでやるより、ダイハツの方がよく売れるということになれば、その小さい車は当社のブランドで造るということもあるでしょう。(自社工場には)あんまりこだわっていません。

――トヨタグループとしては8月から「レクサス」を含む国内4ブランドとなります。

箕浦 グループでシェアを高めようと思ったら、複数のブランドの方が効果的です。仮に1ブランド10%ずつのシェアでも合計では40%になる。また、各ブランドがしのぎを削るという効果もでる。現に当社もトヨタさんとは、ある部分で競合しているし、(グループ内でも)競争は大いに結構ではないですか。

――レクサスのエントリーユーザーがダイハツから入るということになれば面白いですね。

箕浦 あはは、そうですね。小さいけれど安くはないという概念のクルマも出てくるのかなという気もしています。

――レクサスブランドの軽自動車をダイハツが造るというような……。

箕浦 そうなんです。軽のレクサス。その話すると、まだ笑われるだけですが……。軽のハイブリッド車は出します。だが、まだ特定のお客さん向けになるので、軽にふさわしいコスト革新のハイブリッド技術をやろうとハッパをかけています。いずれにせよ、軽自動車には(税制など)恩典が与えられているので、燃費がよくて環境に貢献できるとかで、登録車に勝たなければならなりませんよね。開発陣には燃費では登録車に負けるなよといつも言っています。負けたら恩典(見直し)の話が出てくることにもなるわけですから。

――環境対応ではトヨタの技術も活用することになるのでしょうね。

箕浦 いま双方で技術屋さんの交流がすごく活発になっています。トヨタさんはダイハツにない高級な技術をたくさん持っているので、それを変形、応用して活用させていただく。一方、ダイハツはダイハツでコストの安い車づくりでは100年の歴史があるので、トヨタ車がコスト下げる時のヒントになる材料はいっぱいある。これはスズキさんにはない強みです。ただ、スズキさんには2輪車がありますけどね(笑)。
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