室屋義秀は5位で通過したレッドブル・エアレース千葉大会予選の7日、その室屋の出番の直前、ベン・マーフィー(イギリス)がパイロンをカットし飛行中止(SCO、SAFETY CLIMB OUT)に。このとき、観客が注目したのが、このパイロンの修復だ。
機体の翼でスパッと切れたパイロンが、いったん倒れて、再びリペアされて立ち上がるまで、なんと3分。「エアゲーターと呼ばれるスタッフが、パイロン自体をリペアする実作業時間は90秒。エアレースが始まった20年前は20分かかったから、これはすごい進化」と関係者はいう。
「パイロンはひとつの風船にみえるけど、実は9つのパーツでできている。T1からT9まであって、各パーツがファスナーで結ばれている。素材はT6からT9までがスカイラウンジのテントのような素材。仮に機体がヒットしても安定してそのあと航続できるような素材を独自に開発している」
「パイロンのトップ上から10メートル、赤い部分がフライトウインドウ。エアレースでは、機体がその赤い部分を通過しなければならない。黄色い部分の高さで機体が通過してしまうと、ペナルティになる。素材はパラシュートなどにも使われているスピンネーカーを使用、非常に軽くて丈夫。仮に機体がヒットしても、スパッと切れるようになっている。切れるけど、全体まで裂け目がまわって飛び散らないように、リップストップという加工も施してある。」
こういうエアレーストリビアを聞くと、「機体がヒットしてしまうところもみてみたい」「エアゲーターの活躍をみてみたい」とも思ってしまう。きょう10時からの決勝ラウンドに、また楽しみがひとつ増えた。