【レッドブル・エアレース 最終戦】室屋、フィナーレの千葉でシーズン逆転優勝を誓う

愛機を前に千葉大会での勝利を誓った日本人レーサー、室屋義秀
  • 愛機を前に千葉大会での勝利を誓った日本人レーサー、室屋義秀
  • 地元の福島県内を中心に多数のメディアが詰めかけた
  • 千葉大会でのコース図を使い、勝利を左右するポイントを解説
  • 取材日の前日に組み上げたという機体
  • エンジンの内部も公開されていた
  • 千葉大会が最後になるkとおもあり、レース機はカウルを外して内部までを狡獪した
  • レース前にはレッドブルの缶を並べてイメージトレーニングをするのだという
  • ふくしまスカイパーク内のハンガーには、室屋がこれまでに獲得したトロフィーなどが展示されていた

「レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ2019」で5年連続開催となる千葉大会(9月7日:予選、9月8日:決勝)に参戦する日本人レーサー、室屋義秀選手が8月21日、地元である「ふくしまスカイパーク(福島県福島市)」において報道関係者を対象とした取材会を開催した。

今シーズンは開幕より2連続優勝! 好調な滑り出しを見せた室屋

レッドブル・エアレースは、2003年にスタートして以来、計90以上のレースを展開してきたが、そのレースも今季限りで終了が決定。今季はこれまでに2月の第1戦・アブダビ(UAE)、6月の第2戦・カザン(ロシア)、7月の第3戦・バラトン湖(ハンガリー)と続き、9月の第4戦・千葉大会を最後にすべてのレースを終了することとなっている。

今シーズンの室屋は、アブダビとカザンで連続優勝する好調な滑り出しを見せた。バラトン湖では予想外に風の流れの影響を受け、「ラウンド・オブ・14」でまさかの敗退となってしまったが、それでも今シーズンの成績は55ポイントで総合3位につけている。現在1位のマルティン・ソンカ選手(チェコ)は65ポイント、2位のマット・ホール選手(オーストラリア)は61ポイントで、千葉大会の成績次第では室屋の逆転優勝も十分あり得る。総合優勝争いは事実上、室屋を含むこの上位3人に絞られたと言える。

その状況について室屋は、「2019年シーズンはスタートからいい形でスタートできたけれども、第3戦はいろいろと流れも良くないところもあってポイントがあまり稼げなかったが、現在3位で10ポイント差しかなく総合優勝の圏内に十分入っていると思う」と述べた。

機体のコンディションについては「機体は前日に日本に到着したばかりで、これからメンテナンスを加えていき、来週にはこのスカイパークで本格的にテストフライトの入る。例年通りと同じように千葉戦へ向けた準備を行っているところだが、今年はもう少し0.1秒ぐらいスピードが欲しいというところ。トレーニングをしていく中で、エンジンの冷却関係で空気の流れの制御を改良できないかプログラムを見極めていく」ことにしているという。

エアレース終了のニュースを聞いた時の感想を聞かれると「レースが休止ということで残念ではあるけれど、もう20数年こういった小型機を操縦してきた中で、過去にもやっぱりレース終了ということは当然あった。2007~08年にはツインリンクもてぎで行なわれていたオートボルテージュというワールドシリーズにも最後の2年間で参加させてもらったこともある」と回答。

その中で室屋は、「今シーズンは勝てる状態にあり、せっかくここまでいい状態になった中で(レース終了は)残念ではあるけれども、今後は新たなプロジェクトが何か始まると思う。今は最終戦となった千葉大会で勝てるように一日一日を積み重ねていきたい」と今の心境を述べた。

千葉はバラトン湖に環境が酷似しているが、しっかり準備して優勝を目指したい

今シーズン、スタートから2戦連勝できた要因については、「勝利の背景には2018年後半にエンジンの冷却を変えたことなど、いろいろな努力の結果が実を結んだと思う。2019年の第1戦のアブダビでいきなり勝てたと思うかもしれないが、実は2018年の終わりには手応えを感じていた。第2戦のカザンにはフランスでパーツを交換するなど調整を行い、その後はマドリードに移動して、チャレンジャークラスの選手と一緒にトレーニングをこなした。これがカザンでの勝利につながったと思う」とした。

一方で、バラトン湖での結果は本人も滅多にない運の悪さだったと話す。「予選の結果がレース後に覆るというのは過去に例がない。本戦ではレーストラックに入る3分ほど前にオンボードコンピュータで風の向きは見えていた。それが本番の1分ぐらい前に風向きが変わった。それはアンラッキーだったんだと思う。とはいえ、エアレースはスポーツであり、そういう時もあるのかなと思っている」

では千葉大会にはどう臨むのか。「千葉大会は風向きによってライン取りが変わるバラトン湖と極めて似たコース設定になっている。午後は海からの南風が入ることが多く、どこまで攻められるか難しいが、ここ「ふくしまスカイパーク」でトレーニングを重ねることで十分対応は出来る。来場者の方にとっては、むしろ風向きでライン取りが変わるので(レース展開として)面白いと思う。(21日の時点で)千葉大会まで2週間あるので、ペースを崩さないよう調子を整えて臨みたい」と話した。

ポイントの配分も気になるところ。今シーズンでは予選での成績でポイントが加算されるようなった。たとえば予選で1位になれば3ポイントが加算されるわけで、予選での成績は極めて重要だ。「現在、1位のソンカとは10ポイント差あるわけで、予選で3ポイント取れば決勝での戦いが楽になる。まずは予選で3ポイントを取ること以外に選択肢はない」と、予選から攻める決意を示した。

千葉大会で室屋は過去に二度優勝している、言わばホームグラウンドで最後の戦いに臨む。何よりも、ここ「ふくしまスカイパーク」をベースにギリギリまで調整できるという点で海外の選手よりも有利なのは間違いない。室屋にはそのメリットを十分に引き出し、ぜひともフィナーレとなる千葉大会で有終の美を飾って欲しいと思う。

《会田肇》

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