【スーパーフォーミュラ 開幕戦】名門ナカジマの新人コンビが予選完全制覇…ポールは21歳の牧野任祐、2位に22歳パロウ

予選1-2のナカジマ勢、ポールの牧野(右)と2位のパロウ。
  • 予選1-2のナカジマ勢、ポールの牧野(右)と2位のパロウ。
  • “逆転デビュー戦ポール“の快挙を成した#65 牧野。
  • 中嶋悟監督が牧野を祝福。
  • #64 パロウは惜しくも予選2位。決勝で“再逆転”を狙う。
  • 前年王者 #1 山本尚貴は予選3位。
  • 予選3~4位の#1 山本尚貴と#5 福住仁嶺。
  • 予選5位の#19 関口雄飛。
  • 予選6位の#3 山下健太。

20日、鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)開幕戦の公式予選が行なわれ、新人コンビで臨んだ名門ナカジマレーシングが予選を完全制覇、21歳の牧野任祐(ただすけ)がポールポジションを獲得した。

好天の鈴鹿サーキットで予選日を迎えたSF開幕戦。11チーム20台によるハイスピードバトルがいよいよ実戦本番に入る。路面コンディションはもちろんドライだ。シャシーは全車が新型のダラーラSF19、タイヤも全車ヨコハマ製。エンジンはホンダ/M-TECとトヨタ/TRDの2種で、今季は1基のエンジンでシーズンを通して戦うことが規則で決まっている(昨季は年間2基)。

3段階ノックアウト方式の公式予選は比較的遅い開始時間がスケジュールされ、その定刻通り午後3時45分にスタートした。予選Q1はミディアムタイヤのみ使用可能で、Q2~Q3ではソフトタイヤも使用できる。予選での絞り込みは、Q1で20台から12台、さらにQ2で8台へ。今年は従来に比べてQ1の絞り込みが厳しくなっている(昨年は19台の参戦で14台がQ2に進出できた)。

Q1では新人を中心に赤旗中断となるアクシデントが連発するなど、波乱含みで進んでいった予選だが、そこで一貫して速さを見せつけたのはTCSナカジマレーシングの2台だった。ともに新人、1997年生まれのふたりがQ1~Q2~Q3と3連続1-2で予選完全制覇を実現したのである。

ポールを獲得したのは6月生まれでまだ21歳の#65 牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)だった。冬のテストから速さを見せつけてきた僚友 #64 アレックス・パロウ(4月生まれで既に22歳)の影に隠れがちで、予選でもQ1、Q2と2番手に甘んじた#65 牧野だったが、Q3で0.029秒差ひっくりかえしてポールポジションをゲットした(Q3での牧野のタイムは1分36秒060)。

「みんな、このままアレックス(パロウ)がポールを獲るだろうと思っていたでしょうけど、それを裏切ることができてよかったと思います(笑)」と、してやったりの牧野。ポールが決まったことを無線で聞いた時には「(他カテゴリーを通じても)ポールは久しぶりだと思ったんで、叫び散らかしてました」。

牧野もパロウもQ3ではわずかなミスがあったというが、牧野的にはQ2からQ3に向けてのセッティングのアジャストが奏功したことが逆転要素としては大きかったようで、「エンジニアの岡田(淳)さんがいいアイデアを出してくれました」と大感謝。ここ2年は欧州を主戦場にしていたホンダ系の若手気鋭・牧野(昨季FIA-F2で1勝)、あまりにも鮮やかな“逆転デビュー戦ポール”の快挙であった。

一方、惜しくも“逃げ切りデビュー戦ポール”を逸した予選2位の#64 パロウも、「Q2でマシンは素晴らしいと感じた。とてもハッピーに思っているよ。正直、(好調とはいえ)ここまでの結果は想像していなかったからね。チームの働きに感謝したいし、マキノも素晴らしい仕事をしたと思う」と笑顔。もちろん悔しさもあるだろうが、好調持続のまま向かう決勝で“再逆転”を狙う構えだ。

日本人初のF1レギュラー選手だった中嶋悟監督が率いるナカジマレーシングは1990年代末から2000年代にかけて何度もタイトルを獲得した名門。しかし近年は苦戦傾向にあり、優勝は2010年開幕戦が最後だ(ポール獲得も2010年に2回あって以来)。デビュー戦で最前列占拠を成し遂げた若いふたりのどちらかが、このままチームに9年ぶりの勝利をもたらすことができるか、明日のレースの最大の焦点となる。

当然ながら、他陣営もこのまま黙ってはいない。2列目(予選3~4位)にはナカジマと同じホンダ勢のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台が並び、虎視眈眈だ。予選3位は昨季王者の#1 山本尚貴、同4位は#5 福住仁嶺。連覇を目指す“ホンダのエース”山本、そして牧野とほぼ同じ時期に“欧州留学”していたホンダ系の若手・福住(昨季はF2とSFに並行参戦)、決勝はこっちが、の思いはともに強かろう。

予選5~9位はトヨタ勢で、陣営最上位の5位にはSF界きってのファイター #19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がつけている。同6位はオフから好調でポール争い本命とも目されていた#3 山下健太(KONDO RACING)、もちろん逆襲に向けて牙を研ぐ。全車ニューマシンでの決勝の展望は、まだまだ予断を許さない。

おそらくはドライコンディションでの激闘になる今季SF開幕戦決勝レースは明日(21日)の午後2時開始予定。43周、250kmの戦いだ。

<SF関連情報>SFのシリーズ運営団体JRPは「グランツーリスモSPORT」への新型車両SF19搭載を機に、JAF認定のデジタルモータースポーツイベント「スーパーフォーミュラ・ヴァーチャルシリーズ」を開催することを決定、公表した。ポリフォニー・デジタルとイオンモール(大会会場)の後援・協力のもとに実現するもので、詳細については随時、SF公式サイト等で発表される(最終グランド大会については10月に実車のSF最終戦と鈴鹿で併催予定)。

《遠藤俊幸》

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