【プジョー 5008 試乗】万一の時の7人乗りも悪くはないけれど…中村孝仁

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プジョー 5008
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このところ、3列シートのクルマが気になる。理由は我が家の家族構成の変化で、どうしてもチャイルドシートを2つ付けなくてはならなくなったからだ。

2列シートだって、チャイルドシートを2つ付けられないわけではないが、これに大人が最低3人は乗るという状況を作り出すことは、ほとんど不可能。一度試しにメルセデスの『Eクラスワゴン』でやってみたが、後席センターに座る大人の窮屈さを考えると、これはもうほとんど無理!という世界であった。

3列が気になる理由はこれなのだが、ではプジョー『5008』はどうかと言うと、のっけから否定に入ってしまって少々恐縮だが、3列シート車としてチャイルドシートを必要とする子供を持つオーナーにはあまりお勧めできない。勿論チャイルドシートを二つ付けることは十分に可能であるのだが、isofixの場合は2列目にしかつかないのである。フロントシートという選択肢もあるが、これは誰も薦めないチョイス。というわけで必然的に2列目or3列目ということになるが、実は3列目のシートにisofixのフックが存在しない。

これは多くのメーカーがそうしているようで、どうも3列目の住人は親もしくは祖父母を想定しているようである。 ただ、5008の3列シートをそれで否定しているわけではない。問題はラゲッジをカバーする巻取り型のラゲッジカバーが問題なのである。ドイツ車かと思えるほどガッチリとして重いそれは、そもそも取り外しが厄介なうえ、取り外したところでそれを仕舞うスペースは無い。しかも当然ながら取り外さない限り3列目シートに座ることはできないのである。つまり、3列シートを使う時は、まずラゲッジカバーを取り外し、それを家に仕舞うか、2列目の足元に転がしておくかのどちらかを選択したうえで、3列目シートをセットするということになる。これ、かなり面倒くさい。だから、万一の場合に3列目を使うならいざ知らず、日常的に使うとなると邪魔物以外の何物でもなくなってしまう。

というようなネガ要素があるのだが、あくまで非常用にと割り切ってしまい、シートを折りたたんでおけば5座として余裕の室内空間が生まれ、しかもラゲッジスペースもゆとりがあって、使い勝手としてはメーカーもこちらを想定しているのではないかと思える節がある。

基本、そのスタイルからも『3008』のストレッチ版ということはお解りだろうし、PF2というプラットフォームも共通である。さらに言えば 2リットル直噴ディーゼルターボのエンジンもアイシン製6ATの採用の共通だから、大型化させた3008以外の何物でもないのだが、では乗り味が3008と同じかと言えば実はそうではない。

寸法の違いがだいぶ乗り味に影響を与えている。その差、ホイールベースで165mm、全長で190mm、そして全高で20mm、5008が大型化している。当然重くなっているから若干のダッシュ時などの性能差は出ているのだろうが、何せ400Nmもの最大トルクを持つから、初期加速以外はほとんど気にならないレベルである。背が高いといっても1650mmで、いわゆるミニバンのような高さは無いから、コーナーでの安定性を欠くということもない。かなり攻め込んで行っても大丈夫。たまに子供たちから解放されたお父さんが、ドライビングを愉しみたいと思えば、十分に応えてくれるレベルにある。

何より驚かされたのは、その静粛性と快適さのレベルが3008よりも上だったこと。フラット感の高い上質な乗り味を提供してくれていて、165mm伸びたホイールベースの影響なのか、80kg増えた車重のせいかは定かではないが、とにかく乗り心地に関していえば、5008の方が上である。そして静粛性。音量を測定したわけではなくあくまで主観の範囲ではあるが、5008の方が静かに感じられた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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