自動運転やEVなどのブレークスルーによって、自動車が変化しようとしているいま、次世代通信規格「5G」も、実用化に向けた検討が進められている。自動車のブレークスルーとITが通信によって融合したとき、モビリティはどのように変革するのか。レスポンスセミナー「5Gとモビリティ革命」に登壇予定のKDDI 技術開発戦略部 中山典明氏に聞いた。
■5Gは一夜にしてならず
---:2002年に『G-BOOK』が登場して以来、テレマティクスの時代が来ると言われ続けてきましたが、ここへ来てブレークする機運が高まってきています。
KDDI 技術開発戦略部 中山典明氏(以下、敬称略): そうですね。これまでは、携帯電話のためのモバイルネットワークがまずあり、それを車でも使ってくださいというかたちでしたが、5Gにおいては、車は代表的なユースケースであり、そのほかのIoT も含めて、それぞれの用途に応じたネットワークを作っていく必要があると思っています。そこが今までのネットワークとの大きな違いです。
---:5Gになると、どのようなことが起きるのでしょうか。
中山:まずお伝えしておきたいのは、一夜にして4Gから5Gに切り替わるわけではないということです。しばらくは4Gと一緒に使っていくことになります。そのうえで、5Gの3つの特徴を挙げると、大容量、低遅延、超多数端末接続があります。最初は大容量を活用することから始まると考えます。車載センサーの情報を吸い上げてクラウド側で管理するニーズがありますが、それだけ大きなデータをアップロードしようとすると、LTE だけでは賄えないので、5Gのスポットに入った時に、今まで貯めたデータを一気に吸い上げる、というような使い方が考えられます。一方で、走っている間に必要なデータはリアルタイムに4Gで通信することになるでしょう。
---:過渡期は4Gと5Gを出たり入ったりしながら、最適なデータ通信を車側と連携して制御する。
中山:はい。4Gと5Gの連携もそうですし、DSRC・ITSコネクトとセルラー通信との連携も、どう相互補完していくかということを通信キャリアは考えなければいけないと思います。
---:総務省の「Connected Car社会の実現に向けた研究会」の資料では、KDDIはプライバシーについても触れていますね。
中山:コネクテッドカーでは、車が持っているデータを吸い上げて活用する動きがありますが、情報提供するユーザー側からすると、提供したくないデータもあると思います。なので、ユーザーの確認を取りながらデータを吸い上げるような仕組みがないと、社会的に受容されないと考えます。
そうなると、せっかく技術的には確立していても広がらない、というもったいないことになりますので、プライバシー保護の仕組みづくりも並行して考えるべきだと考えています。この点も我々としては社会実証をやっていくつもりです。
---:大容量になるということは、パケット単価が下がるということでしょうか?
中山:同じパケット単価で通信ボリュームだけ増えていくと大変なことになるので、うまく抑えていくことが我々の課題でもありますし、自動車メーカーからの期待でもあると思いますね。(自動運転の)レベル3、4は運転しなくていいので、ドライバーの空いた時間をどう使うか、例えば映画を観たり、仕事をするケースはあると思います。そういったニーズに応えるものなら、月1000円でも払う価値のあるサービスがどんどん生まれてくるんだろうなと思います。
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