【VW ゴルフ 試乗】神様はこのクルマに二物も三物も与えた…中村孝仁

試乗記 輸入車
VW ゴルフ TSIハイライン 改良新型
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「天は二物を与えず」という言葉があるが、そんなことはない。イケメンで運動神経が良くて天才的スポーツの才能を発揮するスポーツマンなどざらにいると感じている。

クルマの世界を見渡しても、神様が二物も三物も与えたクルマが多く存在する。即ち、性能が良くて、快適な乗り心地を持ち、運動性能にも優れ、なおかつイケメンならぬデザインが良くて、極めつけは上質。こんなクルマがある。それがVW『ゴルフ』のような気がする。だから何世代にもわたって、このセグメントのベンチマークに君臨し続けているのだ。まあ、ちょっと褒めすぎで、スタイリングに関しては決して個性的ではなく、どちらかといえばつまらないデザインである。しかし、それ以外の部分では正直なところ非の打ち所がない。

現行モデルは通称「ゴルフ7」と呼ばれる7世代目。日本で新型と称してつい最近出たモデルは、決してフルモデルチェンジされたモデルではなく、言わばフェイスリフト版だ。と言ってドラスティックにフェイスリフトされているわけでもないし、性能面で大きく変化したわけでもない。

敢えてハイライトはといえば、アクティブインフォディスプレイと称する、デジタルディスプレイの採用や、ゴルフ・コネクトで投入済みの「ディスカバープロ」という名のナビゲーションを含む、インフォテイメントシステムである。とは言うものの、この二つ、どちらもオプション設定だから、普通に「ハイライン」グレードを購入しても付いてこない。では今回の変更で素のハイラインを買って、変化したした部分はといえば、まずは外観で前後の意匠変更。バンパーやライト類などが変わり、前後ともにLEDランプが採用されている。また安全面で歩行者を検知できるようになったプリクラッシュ・ブレーキシステムや、渋滞時にもACCが使える、渋滞時追従支援システムが追加されていることなどだ。

以前から、コンパクトカーでありながらこのACCやレーンキープアシストが付くVWを高く評価してきたが、この分野ではさらに先進性を高め、同セグメントでは完全にライバルの追従を許さない独壇場の機能を持った。

メカニカルな部分は全く変化がない。即ち1.4リットルTSI4気筒ユニットと、7速DSGの組み合わせ。デビュー当初のこの組み合わせと比較して最近のモデルがどう変わっているかといえば、明らかに低負荷時の2気筒走行時間が増えていて、2シリンダーモードというディプレイの表示が頻繁に出るようになっている。そのスムーズネスと静粛性能高さはこれも文句なしにセグメント最良だ。

断っておくが、単純にライバルと考えると、恐らくはプジョー『308』とか、ボルボ『V40』とか、シトロエン『C4』などが頭に浮かび、人によってメルセデス『Aクラス』やBMW『1シリーズ』なども想定されると思うのだが、ライバルで注目されているのは、メルセデスを除けばいずれもディーゼル。しかも販売実績だって、これらのライバルは完全にディーゼルがガソリンを上回り、ガソリンのみの設定はメルセデスだけというのが現状だから、ライバルと言ってもあまり公平な部分での比較はできない。ただ、そのガソリン車で比較してもゴルフの静粛性やスムーズネスは光るというわけである。

乗り心地も非常に快適。もっともこの点になるとゴルフを凌駕するモデルはある。特にフランスの2車。上質という点でも素晴らしいと思う。明らかにブランドイメージ的には上のメルセデスAクラスと比較したって全然負けていない。とまあ、さすが!と唸らせるポイントが満載のクルマ、それが新しいゴルフだ。
VW ゴルフヴァリアント TSIハイライン 改良新型
ハッチバックと同時にワゴンのヴァリアントも試乗した。やはりハッチバックに比べると、キャビンスペースが大きい分、音の拡散が大きく、室内の静粛性は少し劣るし、運動性能的にも若干ながら、ハッチバックには劣るが、その分機能性、多様性は断然ヴァリアントが上だから、差し引きゼロと言ったところ。まさしく神様はこのクルマにニ物も三物も与えた、と感じる。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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