【トヨタGAZOOレーシング2017】中嶋一貴に訊く…「ルマンの“ストーリー”をハッピーなものに」

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今年は3つのトップカテゴリーに参戦する中嶋一貴。
  • 今年は3つのトップカテゴリーに参戦する中嶋一貴。
  • 今季のWECでは、一貴組はカーナンバー「8」のトヨタTS050で戦う(写真は昨年の一貴組で当時は#5)。
  • 今年はSUPER GTにも復帰、#36 au TOM'S LC500で参戦する(写真は昨年の#36、マシンは当時のRC F)。
  • SFでは3年ぶり3回目のタイトル獲得が目標。今年も昨季と同じ#37で走る。
  • SFとSUPER GTはTOM'Sチームで戦う。
  • ルマン制覇は、今やトヨタのみならず一貴の悲願でもある。
  • 今年はルマン24時間レースの表彰台の頂点で、この笑顔を見たい。
  • その視線が見据える今季のゴールは“王座3冠”。
2日に開催された「2017 TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス」にて、今年は3年ぶりにSUPER GTにも復帰、国内外の3つのトップカテゴリーに並行参戦することが明らかになった中嶋一貴。年間20戦以上を戦うシーズンに臨む意気込みを訊いた。

世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラス、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)、そしてSUPER GTシリーズのGT500クラスという3カテゴリーに一貴が並行参戦するのは2014年以来。当時以上の多忙化も見込まれるなか、本人は「WECとSFの2カテゴリー参戦だった過去2年も、SUPER GTの中継ゲスト解説に呼んでいただいたりしていましたからね。行き来の回数としては、そんなに変わらないんですよ」と笑顔で語る。

「もちろん走るとなれば、そこには責任も生じますけど、ドライバーとしてはサーキットに行くなら走った方がいい。年間20戦以上とはいっても、正直、国内に関しては大した移動とは思ってませんし、やっぱり(本業であるドライバーとしての)仕事は、あった方が(笑)。それに実際のコースでの練習機会が多いスポーツではありませんから、自分のパフォーマンスにとっても(参戦レース増は)プラスだと思います。WECとSUPER GTには(他クラスとの混走という)相関要素もありますからね」

世界を飛び回るF1にフル参戦した経験もある一貴、移動を苦にしない(主に精神面の)タフさは流石である。過去2年は休んでいたSUPER GTについても、「乗れるものなら乗りたい、という意識は常にもっていました」。ただ、このところは「スケジュール的にWECとの日程重複が多く、難しい状況にあって」SUPER GT参戦が現実的ではなくなっていた。

しかし、今年は重複によりSUPER GTとWECのいずれかを欠場することになるケースが、5月4日決勝のSUPER GT富士戦と6日決勝のWECスパ戦の1事例だけに。「そういったことと、チームの状況を含めたところが総合的に今年は合ったので」、3カテゴリー参戦再開が実現した(SFはWECともSUPER GTとも重複しない)。

WECが9戦、SFが7戦、そしてSUPER GTが8戦中1戦欠場の7戦。一貴は今季、全23戦を戦うものと予想される(ちなみに史上最多だった昨季のF1が全21戦)。

まずは復帰するSUPER GTについて。チームは、SFで2011年から継続所属中でありSUPER GTでも14年まで所属していたTOM'S(トムス)だ。13~14年と同じくジェームス・ロシターが相棒となり、彼らの36号車の監督は、昨年までトムスのレギュラードライバーだった伊藤大輔が務める(一貴欠場の5月富士戦は伊藤がドライブ)。

「ジェームスとなら、セットアップは『どちらかがハッピーなら、もうひとりもハッピー』ということがわかっていますし、大輔さんとも同じチーム内で走っていたことがありますので、とにかく安心してレースできる陣容だと思います。規定が変わる年なので、新しいマシン(LEXUS LC500)に乗るのも楽しみですね。同時に(諸条件を考慮すると)そんなに違和感なく乗れるだろうとも考えています」

続いて今季もトムスから7年目の参戦となるSF。12年と14年にチャンピオンを獲得している一貴だが、ヨコハマ製ワンメイクタイヤへの切りかえ年であった昨年は、「1回も勝ってない年は初めてでしたね」という成績に終わった。ただ、内容がそれほどわるかったわけではない。

「外から見える結果(0勝)ほどは、気にしていないです。去年は、みんな浮き沈みが激しかったですよね。自分のなかでそれを減らせた部分もあったと思うし、技術的なところ(課題)もあるでしょうけど、まあ、そのあたりは走行機会が多くないなかでも(さらなる改善点を)見つけていくしかないですね。落ち込んでいたところを持ち上げていければ、いいシーズンになると思います」

そしてWEC。昨年のルマン24時間レース(WEC第3戦)、残り数分での一貴組逸勝はあまりにも劇的だった。もちろん今年も、ポルシェを相手にトヨタ悲願のルマン総合初優勝を狙っていくことになる。

「ハッキリと『ルマンに勝つこと』、そして『チャンピオンを獲ること』が目標になりますが、時期的な順番からしても(6月の)ルマンが最初のピークになりますよね。もちろん自分のマシンが勝つのが第一ですけど、今年トヨタは3台でルマンに臨めることになりましたから、アウディもいないことを含めて確率論的にトヨタ優勝のチャンスが増えるのは間違いない。やっぱり必要なことですし、今まで(LMP1時代)はいろんな要因があってずっと2台でやってきましたけど、勝つための準備が(より完璧に近く)整いつつあるのかな、と思っています」

まさに機は熟した。なにより、去年のあの悲劇の“ストーリー”を、悲劇のままにしておいてはならない。

「去年は『あんなことが起きるものなんですね』という感じでしたけど、そこのところのストーリーには、もちろん勝ったら参戦終了という意味ではないですが、しっかりと“ハッピーエンド”をつけてあげないといけないと思っています。去年はストーリーの始まりというか、それこそ30年くらい前からトヨタとしてのストーリーは始まっていたわけで、ここで1回いいオチ(区切り)をつけて、気持ち良く次の章に進めるようにしたいですね」

3カテゴリー参戦、目標は「WECがルマン優勝、SFはチャンピオン奪還。そしてSUPER GTは『まず1勝』です」。なんでも乗れて、どこでも速い中嶋一貴。2017年を大充実のシーズンとし、最終的には王座3冠も目指してほしいものである。
《遠藤俊幸》

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