新東名、東名など11の高規格道路の保全管理業務を担当する中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(竹谷栄一社長)は25日、 道路メンテナンスの技術や技能向上を目的とした「技術研修所」を報道陣に公開した。
同社800人の社員・協力会社の点検員を中心に研修を行う。同種の施設はグループ全体では、名古屋市の名古屋大学構内や岐阜県各務原市にあるが、技術力向上を目的とする点検員のための施設は、これが初めてだ。
研修所には、実際の高速道路では地中やコンクリート中にあって点検員が触れることも、見ることもできない内部や構造が再現されている。
例えば、実際の高速道路にあるトンネルを再現したトンネル模型では、消火装置などの点検業務が実習できるだけでなく、トンネル壁面の裏にまわれば工法ごとの違いがわかるようになっている。
また、1981年に架けられた中央道の橋梁を撤去した際、その一部を切断して研修所に収容。老朽化構造物の経年劣化や損傷とは何かを体感できる材料もそろえた。
建設に携わる技術者と違い、点検員は開通後の道路構造物しか見ることができない。現場では想像するしかない部分を研修で体験することで、わずかな痕跡から異状を見つけ出すヒントを得られるようにとの工夫だ。
2012年12月に発生した中央道の笹子トンネル天井板崩落事故後、グループの頂点にある中日本高速は安全性向上への「5つの取組み方針」を定めている。その中には「道路構造物の経年劣化や潜在的リスクに対応した業務プロセスの継続的改善」や「安全を支える人財の育成」があり、エンジニアリング東京の技術研修所の活動も、それに呼応するものだ。
研修所開設の狙いを中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京の川北眞嗣取締役は、こう話した。
「高速道路の安全性向上が大きなテーマ。(笹子トンネル天井板崩落事故の教訓を)今後とも胸に刻んで、グループをあげて信頼を回復していかなければならない。そのためにも点検員の技能技術をあげていきたい」
将来は高速道路沿線の自治体の技術者の育成施設として活用することも予定する。