【レクサス RC】なぜクーペになったのか?…そしてユーザーを裏切る

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レクサスRC300h
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レクサス『RC』の開発スタートの際、『IS』の派生車として、いくつかのボディタイプが検討されたという。

「開発をスタートする際、ISのワゴンを作るのか、あるいはクーペを作るのかという議論があった」とは、レクサスインターナショナル製品企画主査の小林直樹さんの弁。「欧州や国内はワゴンの要望が強かったが、アメリカから強くクーペが要望された結果、クーペを選択した」と振り返る。

次に、「ISの2ドア版にして少し価格を抑えたクーペを作るのか、もしくはBMW『3シリーズ』に対して『4シリーズ』というように、ベースより少し上のゆとりのあるクーペにするかを考えた」。

2ドア版は、「女性中心の通勤車的なクーペスタイル。例えば2BOXのようなイメージだが、コンセプトは、ISと『GS』との隙間を埋めるためのクルマだ。少しお金に余裕のある人たちのためのクーペを目指すことから、後者=ゆとりのあるクーペに決まった」という。

実はRCにはもう一つ使命があった。それは、「このままで『RC F』を作るということだった」と小林さん。5リットルV8エンジンを搭載することを考え、ボディ設計したことから、「通常のモデルではオーバースペックで、圧倒的にボディ剛性が高くなった」と述べる。

ボディ剛性を高めた理由について小林さんは、「ボディが柔らかいと足を固めなければならない。そのために、必要以上にサスペンションの減衰力を上げたり、良いタイヤをおごったり、あるいはスタビライザーを装備しなければならない」。その結果、「たいがいは乗り心地に角が出たり、動かなかったりなど背反要素が出てきてしまう」と話す。

しかし、RCはRCFを踏まえてボディを設計しているので、「サスペンションで頑張る必要がなく、必要最低限だけ与えれば良いので余裕がある。従って、割とソフトに設計することが可能になり、乗り心地が良くなっている」と説明した。

小林さんは、この乗り心地の良さを「“裏切り”だ」と笑う。「この裏切りがレクサスの魅力につながっているのだ。スポーツだとアピールし、フロントフェイスもいかにも走りそうなイメージを持たせているが、実際に乗ってみると、驚くほどしなやかな足回りだ」と小林さん。

実際にRFやISを購入するユーザーは、「誰もガチガチの乗り心地のクルマを求めてはいない。本当はしなやかな乗り心地を求めており、そこが狙いだ」。しかし、「もの足りない人や、スポーツのふりをしているだけかと思われるのは嫌なのでAVSのような可変制御を入れることによって、普通の街乗りの荒れた道からサーキットまで、そのまま乗っても大丈夫だという状態に仕上げている。そこがレクサスの良い意味での裏切りだ」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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