三菱リージョナルジェット(MRJ)は5度目の納入延期を発表したが、今後は搭載する電子装備品の一部について配置箇所の見直しを進めるとともに、使用する電気配線についても最新の安全性適合基準をクリアしたものに変更して引き直すなどの改良を進めるという。
これについて三菱航空機の岸信夫副社長は「今、試験用として実際に飛んでいる4機に何か問題があるというわけではなく、型式証明の円滑な取得を目指すために必要な改良と位置づけている」と説明する。
電子装備品の搭載位置を見直すことについて、岸副社長は「型式証明取得に必要な書類では "この機器をこの場所に置いた理由は何なのか" を明確に説明する必要があり、ちょっとしたことにもエビデンス(根拠)を示さなくてはならない。MRJの電子機器室は前後2か所だが、同じような機能を持つ機器をまとめて置くのか、それとも離して置くのか。まとめるならその理由を、離すならばその理由をそれぞれ求められる。これまでに製造した機体も悪いとは思っていないが、エビデンスの説明を考えるとそこが弱く、エキスパートの知見を得ながら要求を固め、仕様を策定し、ちゃんと説明できる状態にしようと考えた」という。
現状では5機の機体を試験用として製造しているが、量産1号機となる予定だった機体を改良後の試験用として転用することも考えているようだ。これについては「試験に使った機体を顧客に引き渡すことがあるかもしれないが、試験用の各種センサーはお客様にとって必要がない装備ですよね。なのでこの部分は調整が必要になってくるでしょう」と副社長は語っていた。