違法競争中の衝突で5人死傷---2人の被告は共謀を否認

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昨年6月、北海道砂川市内の国道12号で違法競争中に他車と出会い頭に衝突する事故を起こし、5人を死傷させたとして危険運転致死傷の罪に問われた28歳と27歳の男に対する初公判が17日、札幌地裁で開かれた。被告2人は起訴内容を否認している。

問題の事故は2015年6月6日午後10時35分ごろ発生している。砂川市西1条北22丁目付近の国道12号(片側2車線の直線区間、交差点に信号機あり)で、速度を競い合うようにして走行していた2台の乗用車が赤信号を無視して交差点へ進入し、青信号に従って交差点へ進入してきた軽ワゴン車と出会い頭に衝突。軽ワゴン車は約60m先まで弾き飛ばされ、乗っていた4人が死傷。車外に投げ出された1人はもう1台のクルマの下敷きとなり、約1.5kmに渡ってひきずられて死亡した。

事故当時、2台のクルマは約100km/hの速度で走行。交差点の手前で赤信号となり、約30秒間はこれを視認できる状態だったが、2台とも故意に無視したことが事故につながったと判断し、警察は28歳と27歳の男を逮捕。事故の状況から検察は2人が赤信号を無視してでも速度を競い合おうとした共謀の意思があったと認め、2人を自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で起訴していた。

17日に開かれた初公判で、被告2人は「走行については共謀しておらず、信号も殊更に無視したわけではない」と主張。起訴内容を否認した。

続けて行われた冒頭陳述で検察側は「2人は制限速度を大幅に上回る状態で走行し、赤信号を視認できていたにもかかわらず、相手に負けたくないという意思から高速度での走行を継続させ、事故に至った」として、速度超過状態での走行に共謀の意識があったと指摘した。

これに対して28歳男の被告弁護側は、被告が事故当時に酒気帯び状態だったことは容認したものの、信号無視については「サングラスを足元に落とし、これに気を取られただけであり、殊更に無視していない」と主張。競争についても「相手を意識していたわけではなく、そういった話し合いもしていない」として、共謀の成立は否認した。

また、27歳男の弁護側は「信号は見落とした」と主張。被害者をひきずった認識についても「認識が無い」としてこれを否認。人が飛び出してくることにも予見性は無いとして無罪を主張している。

《石田真一》

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