ハーレーダビッドソンの2017年モデルは、ツーリングファミリーらに新型エンジン「Milwaukee Eight(ミルウォーキーエイト)」が搭載され注目が集まっているが、ダイナファミリーにも大きなトピックスがある。
これまでの「TWINCAM(ツインカム)96」エンジンを103化し、ピークトルクを8%向上したのだ。数値が示すのはキュービックインチ、つまり1584ccだった排気量を1689ccに増やしている。
ダイナファミリーの代表格といえば『LOWRIDER(ローライダー)』。日本に上陸を果たしたばかりのローライダーを北海道でテストライドした。
走り出してすぐに感じるのはVツインらしい鼓動感が増し、排気音にも元気があること。もちろん低中速のトルクもプラスされているが、これは排気量105cc分の恩恵だけではない。
というのも従来までは“日本仕様”という独自の仕向地モデルがここ日本では販売されており、これをハーレーダビッドソンでは2017年モデルより廃止。日本で扱われるモデルはすべて欧州仕様と共通となり、マフラーの音量、エンジン出力、いずれも増しているのだ。
カウンターバランサーを持たずに、Vツインならではのバイブレーションをより感じやすいダイナ用ツインカムエンジンだったが、排気量の向上やヨーロッパ向けモデルと仕様を同一としたことで、乗り手に伝わるハーレーならではのビート感、ピストンの上下動を思い描けるようなエンジンの熱き息吹がより鮮明になった。
そしてキーレスイグニッションのセキュリティシステムを新採用し、機能性を向上。2in1だったマフラーを2in2タイプに変更したことも外観上では大きな違いだ。
1970年代後半に世界的に大ヒットした『FXS ローライダー』から脈々と受け継がれる低く身構えたフォルムやタンクグラフィック、ヘッドライトバイザーやキャストホイール、ダブルディスクブレーキ、ダブルシートといった装備内容は今なお変わっておらず、ハーレーダビッドソンの伝統を感じずにはいられない。
最新版ローライダーでは、約61mm前後調整が可能となる専用のライザー(ハンドルポスト)を備え、脱着可能なシートパッドによって前後38mm着座位置が変えられる。シート高も低く安心感があり、乗り手の体格を選ばないというのも同車が長年愛され続ける理由だと、北の大地を走り込んで確信した。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
取り回し:★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。