駐車場もシェアする時代…予約・出し入れOK、「トメレタ」代表に訊く

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横浜の住宅街にある「トメレタ」駐車場。こんなスペースでも有効活用ができるのが特徴
  • 横浜の住宅街にある「トメレタ」駐車場。こんなスペースでも有効活用ができるのが特徴
  • シェアリングサービス松橋淳人社長
  • 横浜の住宅街にある「トメレタ」駐車場
  • トメレタの利用シーン
  • 横浜の住宅街にある「トメレタ」駐車場
  • 個人宅駐車場の例
  • 空きのある月極駐車場も「トメレタ」でシェアすることができる
  • シェアリングサービス松橋淳人社長

空いている駐車場をシェアする時代へ――。時間貸駐車場「コインパーク」を母体とするシェアリングサービスが、駐車場シェアサービス「トメレタ」を開始し8か月が経った6月末、メディア向け取材会を実施。利用者と土地オーナーの双方のメリットや、駐車場シェアのトレンドなどを聞いた。

カーシェアをはじめ「シェアリング文化」が根付きつつある昨今だが、駐車場シェアビジネスも賑わいを見せつつある。「トメレタ」は、コインパーキングビジネスをおこなう専門業者として日本初の駐車場シェアサービスだ。参入のきっかけは、日本の駐車場事情を知る専門業者ならではの視点、そしてユーザーからの声にあった。

同社・松橋淳人社長は、駐車場シェア展開の背景についてこう切り出した。

「コインパーキングの営業マン時代、新規開拓、用地取得などに追われるなか、土地オーナーからの『空き物件』についての相談も多かった。そうした相談物件を実際に見に行ってみると、意外と駐車場として運用できない物件が多い。そもそも駐車場として活用できる物件は、何百とあるコインパーキング業界がすでに声をかけている。いっぽう、ユーザーからは、駐車場を『予約できればいいのに』という声が多かった。そこで、IoTやシェアリング・エコノミーなどで、駐車場も予約できるんじゃないかと」

◆UberやAirbnbの“駐車場版”

ここでいうシェアリング・エコノミーとは、「典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある」(総務省)というもので、アメリカでは「Uber」や「Airbnb」などが先行して普及し始めているサービスのひとつ。

「トメレタ」は、空いている土地を有効活用したいというオーナーと、目的地周辺の駐車場を予約したいというドライバーを、IoTでマッチングさせるサービス。土地オーナーが「トメレタ」を始めたい場合、住所、物件写真、どんなクルマが入るか、などを入力し同社に申請。同社はそれらを審査し、料金設定などをアドバイスしながら、同意を経てネット上にアップする。

ドライバーはクレジットカード情報などを登録し、目的地を検索して予約するだけ。料金は、土地オーナーが基本を決めるので様々だという。「一日300円のところもあれば、3500円という場所もある」(松橋氏)。売上の65%が土地オーナーに支払われるということで、「混雑する東京ドームちかくの土地オーナーで、1台ぶんを『トメレタ』登録して、だいたい1か月2.5~3万円の収益になる」という。

◆何度も出し入れOK 初期・運営コストがゼロ

利用者側のメリットのひとつが、「一日、何回でも出し入れできる」という点。コインパーキングなどは基本、駐車するたびに料金が発生し、出し入れはできないが、こちらは自由。

土地オーナー側のメリットは、「フラップ板や精算機、Pマーク看板など一切使わない。初期コスト・運営コストがかからないので、儲かるか儲からないかは別として、どんなところでも始められる。いままでコインパーキング化を断らざるをえなかった物件でも実施できる。コインパークが母体ということで、料金設定やユーザー獲得などのノウハウも豊富」など。では、どんな人がこうした「トメレタ」に土地を登録するのか。

「一戸建てや分譲マンションで使われてない車庫、土日休みの薬局、平日に空きが多い理容店など。分譲マンションなどは、不動産価値などを気にして『Pマーク看板などを付けたくない』という声が多く、理事会で決済が降りない。そんなとき、見た目は、月極駐車場と変わらないトメレタが注目される」(松橋氏)

◆来年8月末までに2000か所3000台目標

現状、土地オーナーの登録は550か所(台数で700台ほど)。登録地は東京が最も多く、その次に千葉・神奈川・埼玉の周辺3県。「目標は、年内で1000か所、来年の8月末までに2000か所。台数で3000台ほど」を目指す。

ドライバーの登録は約1万5000人。「やはり30代が多い。ネット決済を日常的に使う世代が大半を占める」という利用者側については、「毎月500人ぐらい新規で増えている。ドライバー会員についての焦りはない」という。

4年後に控えた東京オリンピックについて松橋社長は「2020東京五輪で注目しているのは、工事特需。工事現場の車両は一回止めると長い時間、駐車する。施設がある程度できあがると、敷地外に止めるようになる。そこを狙って、法人会員を獲得していきたい」と話していた。

◆シェアならではのやり取りやソリューション

最後に、駐車場シェアならではのエピソードも。「埼玉・草加から横浜スタジアムにプロ野球観戦に行くというドライバーが、横浜の駐車場を探していた。予約した駐車場のオーナーは、手づくりの横浜散策マップをドライバーに渡してあげたと。そしてドライバーはそのお礼に草加せんべいを手渡した…というような人と人とのつながりが生まれるのも『シェアすること』の特徴。こうしたメッセージのやり取りは、運営側のわれわれもチェックしている」と話す。

そんな小さなコミュニケーションから、人の輪を創りだしている駐車場シェア「トメレタ」。7月1日には日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD)と提携し、ユニークなIT技術で日本各地の駐輪場問題を解決するNCDとトメレタがタッグを組み、「予約できる1日貸しバイク駐輪場サービス」を拡大。バイクの駐車違反を解消させる一手としても動き始める。

《レスポンス編集部》

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