【INDYCAR 第8戦】ウィル・パワー今季初優勝…琢磨アクシデント遭遇も10位完走

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優勝した#12 パワー。
  • 優勝した#12 パワー。
  • 優勝した#12 パワー。
  • #14 佐藤琢磨は10位でゴール。
  • 左から2位パジェノー、優勝パワー、3位ハンターレイ。
  • 2位の#22 パジェノー(写真先頭)。
  • 3位の#28 ハンターレイ。
  • スタート直後、中団~後方でアクシデント発生。#14 琢磨も巻き込まれる。
  • #12 パワーは約1年1カ月ぶりの勝利。

現地5日、インディカー・シリーズ第8戦が米国デトロイトのベルアイルパーク特設ストリートコースで開催され、2014年シリーズ王者のウィル・パワーが今季初優勝を飾った。佐藤琢磨はスタート直後にアクシデントに遭遇するも、レースを戦い抜き10位でゴール。

前日に決勝が行なわれた第7戦に続いてのデトロイト・ダブルヘッダー開催“レース2”。この日のレース(ドライコンディション)も、連続ポールポジションのシモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)ら強力4台体制を敷くチームペンスキーがレースフィールドを支配する流れとなっていく。

前日は展開のなかでピット戦略をうまく機能させたセバスチャン・ブルデー(#11 KVSH Racing/シボレー)に優勝をもっていかれたペンスキー勢。この日も終盤、またもや戦略違いのブルデーが首位を走るという似た局面があるにはあったが、2日連続のペンスキー支配崩壊まではなかった(ブルデーは最終結果8位)。

ペンスキー勢4台のうちファン・パブロ・モントーヤ(#2)はレース半ばで戦線離脱。残る3名のパジェノーにエリオ・カストロネベス(#3)、パワー(#12)はレース後半、優勝を巡って悲喜交々の展開を演じることになる。

70周レースの41周目、カストロネベスがパジェノーを抜いてトップへ。この時点でトップ4はカストロネベス、パジェノー、ライアン・ハンターレイ(#28 Andretti Autosport/ホンダ)、パワーの順に。そして50周が近づく頃、通常戦略で走るマシンたちにとっての最終ピット時期がやって来る。2~4番手のパジェノー、ハンターレイ、パワーは49周終了でピットへ。

ここでタイミング的に不運だったのが首位カストロネベスだ。彼は50周終了時にピットするつもりだったが、その直前にコース上でストップしたマシンがあり、フルコースコーションが出てしまったのだ。カストロネベスは争覇圏外に去ることとなる(最終結果14位)。

パワーはレース後、「ピットでチームクルーが素晴らしい仕事をしてくれて、僕はハンターレイの前に出ることができた」と勝因のひとつを語っている。フルコースコーション明けのリスタートにおいて、実質の首位に復帰したパジェノーに挑戦できるポジションをパワーは得たのだ。そしてレースが再開された53周目、パワーは右コーナーのアウトサイドからパジェノーをパスし、実質トップに浮上する。

勝利を決めたパッシングショットを、パワーはこう振り返る。「それほど大きなリスクはなかったよ。アウト側から、だからね。もし僕がイン側を攻めていたら、リスクは大きくなったかもしれないけど。シモン(パジェノー)はチャンピオンシップリーダー(かつ僚友)だから、パスするならアウトから、クリーンに、と思っていた。スペースがあったから、そこに行ったんだ」。実際、素晴らしくクリーンなパスだった。

一昨年のシリーズ王者で、ロード&ストリートでは無敵に近い強さを誇った時期もあったパワーだが、昨年のインディGPから1年以上、優勝がなかった。「今年は開幕戦の決勝レースを欠場するなど、厳しいシーズンスタートになったけれど、我々は今日こうしてここにいる。クルーにとっても自信になるよ」。今季ポイントでは首位独走中のパジェノー(357点)に117点差の7位と、まだまだ厳しい位置のパワーだが、2年ぶりの王座に向けてここから巻き返していきたいところだ。

決勝2位はパジェノー。3位にはハンターレイが入ってホンダ勢のトップフィニッシュ。4位はジョセフ・ニューガーデン(#21 Ed Carpenter Racing/シボレー)で、5位に前年王者のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/シボレー)が入っている。

16番グリッドからのスタートだった佐藤琢磨(#14 AJ.Foyt Racing/ホンダ)は、いきなりアクシデントに遭遇する波乱の幕開けに。それでもラップダウンせずにマシンを修復してレースを続行できたことは不幸中の幸いだった。そして最終的には10位までポジションを上げてゴール。

佐藤琢磨のコメント
「スタート直後、目の前でアクシデントが起き、ブレーキングして避けられるところではあったのですが、後方からヒットされてエンジンがストップし、フロントウイングとタイヤにもダメージを負いました。幸運だったのは、周回遅れにならずに済んだことですね。(再走後に)2回続けてピットに入り、タイヤとノーズを交換してもらいました。

そこからは徐々にポジションを上げていけました。ただ、マシンに競争力はあったのですが、何かが不足しており、不安定でドライビングが難しくなっていましたね。スタートでアクシデントに巻き込まれながらもトップ10でゴールできたことは嬉しいです。レース中には作戦が展開に合っていて、もっと上位に食い込めそうな勢いもありました。そのまま(の流れで)ゴールまでいけなかったことが、少し悔しくもあります」

今季のインディカー・シリーズは全16レースが予定されており、今回のデトロイト2連戦で前半8レースを終えたかたちになる。とはいえ、休む間もなく第9戦は来週(現地11日決勝)、今度はオーバルコースのテキサス・モータースピードウェイでの戦いが待つ。

《遠藤俊幸》

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