ジェイテクトは、主に自動車の変速機への使用を想定した新構造のアンチクリープ玉軸受を開発したと発表した。
自動車の変速機用玉軸受など、大きなラジアル荷重がかかる軸受には、外輪ひずみによるクリープが発生しやすい。クリープが発生すると、軸受とハウジングとの間で摩耗が進行し、軸の芯ずれや傾きが大きくなり、実機ユニットに不具合が生じる。
今回の開発品は、外輪の外径中央部に極浅い溝を設ける構造を世界で初めて採用、玉と外輪軌道の接点から外輪外径とハウジングとの接触部までの距離を外輪厚肉化製品と同等とすることで、外輪肉厚を35%アップした場合と同水準のクリープを抑制する。
このため、クリープで摩耗するハウジングや、軸受の寿命低下対策として従来一般的だった外輪厚肉化することなく、クリープを抑制することに成功した。外輪肉厚35%アップと同等のクリープ抑制効果があり、ハウジング摩耗量を50%低減する。
自動車の変速機などの軽量化やコンパクト化に貢献する。年間売り上げ目標は10億円。
今後、CVT(無段変速機)やハイブリッド車などの自動車変速機用軸受として自動車メーカーや変速機メーカーへ拡販を図るほか、クリープ抑制が求められる用途向けに広く展開する。