IoTの次に求められる価値創出のための変革…ダッソー・システムズが記者説明会を開催

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ベルナール・シャーレスCEO
  • ベルナール・シャーレスCEO
  • 質問に答えるシャーレスCEOとモニカ・メンギニEVP
  • ダッソー・システムズが顧客に提供する価値の変遷
  • 商品を購入してもらうことがビジネスの最終地点ではない
  • MREALブース。HUD装着者はバーチャルNSXの運転席に座っている
  • 実際の空間に置かれたバーチャルNSX
  • フォーラム会場にはバルミューダの製品も展示された
  • スポンサー企業の展示スペース

ダッソー・システムズは5月31日から2日間にわたり、年次イベントの「3D EXPERIENCE FORUM Japan 2016」をウェスティンホテル東京で開催。これに合わせて同社CEOのベルナール・シャーレスが来日し、記者説明会をおこなった。

ダッソー・システムズはCADソフトの「CATIA」と「SOLIDWORKS 」をはじめとするさまざまな3Dアプリケーションのほか、デザイン開発や生産プロセスなどを統合するプラットフォームとして「3Dエクスペリエンス」を展開している。

会見の冒頭、シャーレスCEOは過去18か月において、同社の製品やサービスの売り上げがアメリカとヨーロッパ、そしてアジアで伸びたことを紹介。特にアジアでは、中国市場が減速したにもかかわらず12%もの成長を達成できたのは日本のおかげだという。

続いて同社の統合PDMシステム「ENOVIA」を「技術的イノベーションとビジネスイノベーションを繋ぎ、ビジネス・アプリケーションの新境地を切り開いて成功しています」と紹介。「これからは、製品とビジネスモデルの両方の革新が必要になってくるでしょう」と強調した。その例としてUber(ウーバー)やテスラのビジネスを挙げる。車両に関連したサービスを商品として提供するという「エクスペリエンス・エコノミー。製品をベースにするのではなく、使用をベースにした経済活動です」とのこと。

またマイクを引き継いだモニカ・メンギニEVP(最高戦略責任者)は、「どのような製品を作るのか」ではなく「どのようなインパクトを消費者の生活に与えるか」が重要だと説く。そして「単一の製品で満足する消費者はもはやいません。もっと多くの体験を提供しなければならず、そのためのプラットフォームが必要です」と続ける。

「現在はIoTがもてはやされていますが、これは少し古い考え方といえるでしょう。インターネットに接続されていることが必要だというのはすでに知られていますが、これに加えて日々の生活を改善するような体験を提供することが重要になります」という。

さらに「“デザインする”ということは、ビジネスプランを作成することだと考えています」と続け、その一例として、ある電動歯ブラシの例を紹介。歯ブラシが使用者の磨き方の癖を収集し、そのデータを歯科医に提供。歯科医はこれを分析して治療に役立てられるほか、「きちんと歯磨きできているか」を判断するアプリケーションを製作し、オンラインで販売することもできる。製品の「形を決めること」だけがデザインではなく、消費者からのフィードバックに基づいて、新しい体験を提供することに価値があると説明した。

そしてこれを実現するために「マーケティングはアディクティブ(習慣)でなければいけません」とも説く。「近視眼的な商品マーケティングはもはや機能しません。マーケティングはCEO自身で推進しなければいけないし、経営プロセスに組み込まれたものでなければいけません。製品は大きな可能性を伴って市場に届けなければいけないのです」という。このために製品の着想からデザイン開発、製造、マーケティングまでを横断できるプラットフォームが必要というわけだ。

なおフォーラムでは、さまざまな業種のユーザーが事例発表するセッションが開催されたほか、同社製品の活用例を展示。ここではキヤノンのMRシステム「MREAL」のデモが注目されていた。

これはHUD装着者が実際の空間とホンダ『NSX』の3Dデータが重ね合わされた映像を見て、内外装のデザインをチェックできるというものだ。車体内側に入り込んだ位置や角度といった、フィジカルなモックアップでは不可能な視点で確認できることは、サプライヤーも含めたすべてのデザイナーやエンジニアにも恩恵をもたらすものだろう。

《古庄 速人》

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