小は大を兼ねるか? 軽&コンパクトカーのパッケージング、3つのポイントで検証

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トヨタ パッソ
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クルマのダウンサイジングの波が押し寄せている。家族構成の変化や経済性へのこだわりから、よりコンパクトなクルマへの乗り換えが進み、車両側でもエンジンの小排気量化が世界的なトレンドとなっている。低燃費性が重要視されるのはもちろん、日々の買い物からファミリーでのお出掛けなど、様々な使用シーンにおける利便性も欠かせない。

◆一口に語れないコンパクトカーの多様性

そんなユーザー需要の移り変わりを受けて、コンパクトカーのラインナップも多様化している。

まずは、4月に登場したトヨタ最小5人乗りの新型『パッソ』。先代と比較して扱いやすいサイズの全長、全幅はそのままに全高を10mm低め、ドシリとした存在感ある台形スタイルに進化している。車両重量を維持しながらも軽量高剛性ボディや樹脂化技術を採用し、燃費に効くクラス最上の空気抵抗値を実現した。合わせて前輪と後輪間距離=ホイールベースを50mm伸ばし、室内長を145mm延長。結果、特に後席に大きなゆとりをもたらしている(それでも小回り性の良さは維持)。

また、デザインを一新し生まれ変わった『シエンタ』は、3列目席に大人がしっかり座れるトヨタ最小ミニバン。内外装では遊び心と上質感を両立させると共に、広い室内空間を活かした便利機能も備えている。コンパクトな5ナンバーサイズながら7人乗車が可能だ。

さらに、スクエアデザインでオシャレなインテリアと、4人乗りの軽自動車ながら室内空間の広さにも定評あるのが『ピクシススペース』だ。

ここではこの3台を対象に、ユーザーがもっとも気になるであろう、パッケージング(室内空間)、乗降性、使い勝手にフォーカスしてみたい。

◆コンパクトなボディ、その居住性は?

前席は3車ともにシートがフロアに対して高めにセットされ、視界は爽快。走りだす前から運転のしやすさを予感できるに違いない。

驚かされるのは新型パッソの後席居住空間のゆとりとシートのかけ心地の良さ。先代より全高が10mm下がっていてもシートの位置もまた10mm低めているため頭上方向のゆとりは変わらない。さらにロングホイールベース化と合わせ後席の位置を約40mm後方へ移動したことで、身長172cmのドライバー基準のひざ回り空間は後輪駆動の大型セダンを上回るほど。2列目席ひざ回り空間は約210mmとなり、先代が約105mmだったのだからいきなり倍増、足元ゆったりだ。

ところで先代までのパッソのシートアレンジの特徴だった、後席のシートクッションのみ前方スライドさせ足元の段差をなくす「ロングクッションモード」は今回廃止されている。たしかに子供のおむつ替えやペットを乗せるには好都合だったのだが、構造上シートクッションが薄くならざるを得ない。新型では前記のように後席居住空間が飛躍的に拡大し実用的になったことで、シートのかけ心地向上は必須。そこでクッションに厚みを持たせるためロングクッションモードをあきらめたというわけだ。これは見識ある決断と思える。

もちろん、3列シートミニバンのシエンタは全長・全高のゆとりによる大容量室内空間を備え、実用性を誇る。こちらも、2列目席ひざ回り空間は約210mm。大人でも無理なく座れる3列目席にも注目だ。さらにシエンタは簡便かつ凝った動きをする3列目席の床下格納操作、シートアレンジの自由度&多彩さも自慢。特に最大4名乗車に限ってのアレンジが面白い。3列目席に座り、その前の2列目席をタンブルして折り畳むと、身長172cmの筆者のひざ回り空間は、ぐっと広がる。『アルファード』の2列目席ロングスライド最後端位置(ひざ回り空間約87cm)どころではない約158cmに達するのだ。このアレンジを知れば、3列目席が特等席になるかもしれない。

ピクシススペースは、取り回しの良いコンパクトなボディながら室内長2000mm、前後の乗員間距離955mmを確保している。スクエアなボディは乗車時の圧迫感も少ない。多彩なシートアレンジも特徴だ。前席のヘッドレストを外し、シートを倒した「ロングソファモード」や、後席のシートを前に折りたたんだ「フルラゲージモード」を活用することで、様々な形状の荷物を積み込むことが可能になる。

◆乗降性とラゲッジの使い勝手をチェック

パッソとピクシススペースはセミベンチシートでソファ感覚かつ横方向にゆとりあるかけ心地が魅力。一方、シエンタは運転席と助手席の間に空間があり、バッグをフロアに置く、そのスルースペースから後席に移動する…といった使い方ができるメリットがある。

後席の乗降性、チャイルドシートの脱着&子供を抱き抱えた母親の乗降性はどうか。リヤスイング式ドアのパッソはそもそも車幅が狭く(1665mm)、狭い場所でも約90度開くドアを全開にしやすい。乗車間口が極めて広いため、乗降は実に快適なのである。コンパクトカーの中でトップクラスという後席のゆとりも魅力だ。ピクシススペースも、ドア開度は約90度。全幅1475mmとさらにスリムなボディで、狭い駐車スペースでも乗降に不便さはないと言える。しかも両車ともにシート座面が比較的フラットで、チャイルドシートを安定した状態で固定したりペットを乗せるにも適している。大開口両側スライドドアを備え、ステップ高が地上330mmとごく低く段差のないシエンタは、シーンや乗員を選ばず利便性を発揮する。

ラゲッジの使い勝手はどうだろう。パッソは開口部地上高670mm、ラゲッジフロアの奥行きが470mm。幅方向ともに後席使用時(5人乗車時)でも、日常に必要十分以上のラゲッジ容量が確保されていることになる。シエンタ(3列目席を格納した状態)は、開口部地上高505mm、奥行き955mm。地面からの距離が近いため重い荷物の出し入れやペットの乗降性でメリットを発揮する。ロングホイールベースのため奥行きにも余裕ありだ。ピクシススペースは開口部地上高620mm、奥行き410mm。さすがに全長が限られているため制限はあるが、前述のシートアレンジを駆使することで可能性は広がる。

こうして各車を見ていくと、コンパクトなボディサイズを生かした運転のしやすさはもちろん、後席の居住性、運転席回りの豊富な収納を含む実用性、使い勝手に、あらゆる工夫が施されている。生み出されたゆとりは、乗員の疲れにくさにも効果をもたらすだろう。まさにどれも「小は大を兼ねる」パッケージングを実現しているのである。

トヨタ パッソ 公式サイト
トヨタ シエンタ 公式サイト
トヨタ ピクシススペース 公式サイト


《青山尚暉》

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