SIMフリー機も売れているiPhone、格安SIMを使う前の注意点

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国内キャリアで発売されたiPhone 6sも、ようやくSIMロック解除が可能になった
  • 国内キャリアで発売されたiPhone 6sも、ようやくSIMロック解除が可能になった
  • ドコモではオンラインのほか、ショップの窓口、電話で解除の申込みを受け付けている
  • auもショップ店頭に電話、オンラインから対応する
  • ソフトバンクは店頭とオンラインで対応。サイトにはSIMロック解除が可能な取り扱い機種のリストが公開されている

 先日発売された新しい「iPhone SE」はSIMロックフリーのモデルも販売が好調なようだ。日本国内では、2014年頃からアップルストアでSIMフリー版のiPhoneが購入できるようになったが、多くの方々はiPhoneをドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアで購入したものを使っていると思う。

 しかしながら、月々の金額を少しでも抑えられれば……と考えている方も多くいるだろうし、最近では、格安SIMの注目度がますます上がっている。そこで今回は、手持ちのiPhoneを、格安SIMカードで利用する方法について考えてみたい。

■国内のMVNOは、ドコモ回線を使っている事業者がほとんど

 そもそも、現在はiPhoneに限らずAndroidスマートフォンの場合でも、キャリアからスマホやタブレットを購入すると、初期の段階ではデータ通信や音声通話を行うためのSIMカードを他社のものに差し替えても、基本的には利用できないようにいわゆるキャリアの“SIMロック”がかけられている。つまり、SIMカードに付随するサービスと端末が一体になったかたちでキャリアから販売されているものを、ユーザーは買って使っているというわけだ。

 一方で、格安SIMカードを販売する「仮想移動体通信事業者(MVNO)」は、大手キャリアである移動体通信事業者から回線を借り受けてユーザーに通信サービスを提供している。国内のMVNOは、ドコモのネットワーク回線を使っている事業者(IIJmio、DMM mobile、OCN モバイル ONE、BIGLOBE SIM、イオンモバイルなど)が最も多く、auのネットワーク回線を利用しているサービスにはUQモバイルとマイネオの2社がある。ソフトバンクのネットワーク回線を利用しているMVNOは本稿執筆時点ではまだないというのが現状である(※ソフトバンク系の格安スマホサービス「ワイモバイル」はMVNOではない)。

 いまiPhoneを使っているユーザーがMVNOの格安SIMのサービスに乗り換える手段として、最もシンプルな方法は、例えばドコモの端末のユーザーなら、ドコモのネットワーク回線を使うMVNOのSIMカードをそのままスロットに差し替えて使うことができる。またauの場合、VoLTEに対応するiPhone 6/6 Plus以降の端末はUQモバイルとmineo(マイネオ)のau版VoLTE対応SIMカードを利用すればSIMロックを解除せずに利用できる。ただし、マイネオのau版SIMカードについては「iOS 8~iOS 9.3.1のiPhone 5s/5c」は利用できないという例外もあるので注意したい。またMVNOのサービスとの相性によりテザリングが使えなくなったり、一部機能に制限がかかる場合もあるので、MVNO各社が公開している動作チェック情報なども注意深く確認してほしい。

 自分が使いたい機能が手持ちのiPhoneとMVNOの格安SIMカードとの組み合わせで使えることがわかれば、あとはMVNOのサービスに乗り換えれば、月々のデータ通信にかかる費用を安く抑えられる場合がある。一方で音声通話の料金はアップすることも大いに有り得るし、端末の故障などが発生した場合、大手キャリアが用意するような手厚いサポートが受けられなくなるデメリットについても考慮しながら、自分にとってベストな選択をしたい。とりあえず格安SIMを契約してみて、使い勝手の様子をみて問題なく使えそうであれば、大手キャリアの契約を必要に応じて解約するのもアリだ。

 ソフトバンクでiPhoneを購入していた場合は、現在はまだソフトバンク回線を借りてサービスを提供しているMVNO事業者がいないため、まず先にiPhoneのSIMロックを解除しなければならない。「SIMロックの解除」がどういうものか、次ページから詳細を解説していきたい。

■SIMロックを解除するメリットとは

 2015年5月に日本国内の携帯電話キャリアに対する「SIMロック解除の義務化」がスタートしてから間もなく1年が経つ。この総務省によるガイドラインが施行された後、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアは5月1日以降に発売された端末が「購入日から6ヶ月」を経過すればSIMロックを解除できるという方針を打ち出した。

 一般的にSIMロックを解除するとユーザーにどんなメリットがもたらされるのだろうか。

 SIMロックを解除すれば、ユーザーはお気に入りのスマホを使い続けながら、MNPを駆使してよりお得な他キャリアのサービスに乗り換えることができるようになる。先に触れたように、ソフトバンク回線でiPhoneを使っているユーザーが、iPhoneをそのまま使いながら他社のサービスや格安SIMに乗り換える場合には、まず最初にSIMロックを解除する必要がある。

 もう一つSIMロックを解除するメリットは、海外旅行や出張に使い慣れたスマホを持って出かけることができて、さらに現地のキャリアが提供しているSIMカードのサービスを利用すれば通信サービスにかかる費用が比較的安価に抑えられることだ。

 ではiPhoneは全てのキャリアのどのモデルもSIMロックが解除できるのかと言えば、答えは「否」である。2015年5月に総務省による「SIMロック解除の義務化」が施行される以前には、基本的に3大キャリアはiPhoneシリーズについてSIMロックの解除を行ってこなかったし、現在も2015年9月25日に発売されたアップルのスマートフォン「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」、そして先日発売された「iPhone SE」のみをSIMロックが解除できる端末としているのだ。つまり、iPhone 5sやiPhone 6については、アップルストアで販売されていたSIMフリーモデル以外には、SIMロック解除を行ったうえで国内で格安SIMを使う手立てはないということになる。

 何とも残念な事実だが、一方でiPhone 6s/6s Plusを3大キャリアで購入したユーザーはSIMロックを解除して使うことができる。SIMロック解除の義務化がスタートした後、ドコモ、au、ソフトバンクの各社は5月1日以降に発売されたスマホやタブレットが「購入日から6ヵ月」を経過した時点でSIMロックを解除できるという方針を打ち出した。そして、発売当日にiPhone 6s/6s Plusを購入したユーザーは、2016年3月25日に「購入から6ヵ月」にSIMロック解除の解禁日を迎えたというわけだ。

 それでは続いて次ページから、iPhone 6s/6s PlusでSIMロックを解除するための条件や方法、注意点を順にまとめてみよう。

■SIMロックを解除できるiPhoneの機種

 3大キャリアがSIMロックの解除に応じているiOSデバイスには、iPhone 6s/6s Plusのほかに次の機種がある。

・iPhone 6s/iPhone 6s Plus/iPhone SE
・iPad Pro(12.9インチ/9.7インチ)/iPad mini 4

 この中でiPhone SEとiPad Proの2機種はまだ発売から6ヶ月が経っていないため、SIMロックの解除はすぐにはできないので注意しよう。

 SIMロックが解除できる条件としては、各社とも繰り返し述べている「購入日から6ヶ月が経過している端末」であることのほかに、利用者本人の端末であることや、「ネットワーク利用制限」がかけられていないこと、故障していないこと、解除する端末がキャリアから購入されたものであること、利用料金を滞納中ではないことなどベーシックな約束事が含められている。

 手続きの方法については3大キャリアともに、キャリアショップ店頭での窓口受付けのほか、ロックを解除したいスマホ、あるいはパソコンを使ってオンラインで申し込むこともできる。ドコモとauは電話での申し込みも受け付けている。

 SIMロック解除にかかる費用は店頭窓口(ドコモの場合は電話も)の場合は各社ともに3,000円(税別)、オンライン申込みの場合は無料になる。

■解除を受付けている期間

 3キャリアともに「購入日から6ヵ月が経過」すれば任意のタイミングで解除手続きが行える。ドコモの場合はさらに、2015年5月よりも以前から一部機種を対象にSIMロック解除のサービスを提供してきたキャリアなので、ユーザーが使用中の回線でSIMロック解除の実績があり、かつ前回のSIMロック解除受付から6か月以上が経過している場合に限り、端末購入日から6か月が経っていなくてもSIMロック解除の手続きを行うことができるところが他社との違いだ。同条件に当てはまれば、発売されたばかりの「iPhone SE」「iPad Pro 9.7インチ」もSIMロック解除がすぐにできる可能性もある。

 キャリアの通信サービスを解約した後でも、SIMロックが解除できる場合があることも知っておきたい。ドコモとソフトバンクは「解約日から3か月以内」、auは無期限で契約終了後の端末のロック解除を受け付けている。3キャリアとも、解約にかかる料金は3,000円(税別)で窓口での対応を基本としているが、ソフトバンクの場合は契約を終了したユーザーに対して、オンラインの「My SoftBank」で利用明細が確認できるサービスを約1ヶ月ほど開放しているので、この期間内であればPCを使って無料でSIMロック解除が行える。

■SIMロック解除後に不便になる点は?

 各キャリアともに、SIMロックの解除を行う前には万一に備えてデータのバックアップを取っておくことを推奨している。

 SIMロックを解除した後も、キャリアの契約を解約せずに、同じSIMカードを使ってサービスを利用を継続していれば使い勝手に大きな変化はなく、割引サービスも変更無しで受けられる。端末が故障した場合も、購入元のキャリアで故障修理を受付けている。iPhoneの場合は端末修理の窓口はAppleCareとなるが、各キャリアの補償サービスを利用しているユーザーであればこれもサポートの対象になる

 ただし、MVNOのSIMカードなどを併用して発生したトラブルについては、キャリアによるサポートの範囲外となるので注意したい。またMVNOのサービスに乗り換えると、通話・通信速度の品質に変化が生じることも覚悟はしておきたい。

 格安SIMに乗り換えると多くの場合はキャリアメールが使えなくなるが、Gmailなどのフリーメールサービスをメインとして併用すればさほど不便に感じられることもないはずだ。またMNPで乗り換えれば、相手がiOS端末を使っていればiMessageで無料のメッセージと写真データの送受信が継続的に使える。

 ビジネスマンにとって大事な機能の一つがテザリングだ。これがSIMロックを解除しただけで使えなくなることはないが、海外で契約したSIMカードや、国内MVNOのSIMカードを装着して使ったときにテザリングが使えなくなることもあるようだ。今回の取材で各キャリアに問い合わせしたところ、特にキャリアの側でテザリングの使用に制約を設けていることはないという返答を得た。組み合わせるSIMカードのサービスとの相性に依存するのかもしれない。特に国内の格安SIMカードを使う場合は、事業者が公開しているiPhone 6s/6s Plusとの動作確認結果を調べたり、気になる方は詳細を問い合わせしてから満を持してサービスを選んだ方が良さそうだ。

 前に述べたことの繰り返しになるが、MVNOのサービスへ上手に乗り換えられれば、月々のデータ通信にかかるコストを圧縮することは可能になる場合があるが、音声通話の料金はアップすることも有り得る。また端末の故障などが発生した場合、大手キャリアが用意するような手厚いサポートが受けられなくなる覚悟も必要だ。

 iPhoneの場合はアップルが販売している最大2年間の手厚いサポートが受けられる「AppleCare+ for iPhone」を使う手もあるが、iPhoneとの同時購入、または30日以内にApple Storeなどで購入することが条件だ。先日発売されたiPhone SEを購入して、ゆくゆくはSIMロックを解除して格安SIMに乗り換えることも考えている方は、今のうちに「AppleCare+ for iPhone」の導入を検討してみてもいいかもしれない。

 海外に出かける機会の多い方にとっては、オンラインからの申込みなら無料でできるので、実際に海外でSIMを購入して試してみるかどうかは別にして、万一に備えてロックを解除しておいてもよさそうだ。

iPhoneで格安SIMを使う!知っておきたい基礎知識

《山本 敦@RBB TODAY》

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