【新聞ウォッチ】当世メディア事情、「富士重・マツダ世界で快走」と「おしゃれSUV人気」

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年3月9日

●羽田発NY便10月にも、38年ぶり、全日空と日航、1往復便で(読売・10面)

●原油価格底打ち感?年初来高値「増産凍結」に期待(読売・11面)

●学ぶ、育む、自動車の新税、燃費良い車ほど負担軽く(読売・17面)

●景気足踏み苦慮の政権、株安、冷え込む消費(朝日・2面)

●おしゃれSUV人気、低燃費・街乗り意識、本格大型は「絶滅危惧種」朝日・11面)

●平成28年春闘、日本自動車工業会・吉田正弘労務委員長「国際競争力維持の観点を」、自動車総連・相原康伸会長「賃上げで『職場力』底上げ」(産経・10面)

●「白タク合法化は安全軽視」都内でデモ(東京・3面)

●横浜ゴム、独社と提携解消タイヤ相互供給を停止(日経・11面)

●ホンダ、寄居工場公開、効率生産のノウハウ培う(日経・12面)

●スズキ株、一時5%安、CB発行で希薄化を嫌気(日経・15面)

ひとくちコメント

駆け出し時代に先輩記者から「常に批判的精神を忘れるな」と口酸っぱくいわれたことが染み付いているのか、どうもポジティブな記事を書くのが苦手である。表現の仕方を少し違えると“褒め殺し”にもなりかねないからだ。そんな中、「快走」とか「人気」といったタイトルを使った自動車関連の記事が相次いでいる。

きのう(3月8日)の読売朝刊は、「富士重・マツダ世界で快走」と経済面のトップ記事で掲載。「自動車大手で中位に位置する富士重工業とマツダの新車販売が『快走』を続けている」として「多様な車種をそろえるトヨタ自動車など上位各社とは違い、対象として狙う顧客を絞り込んだ戦略が奏功している」と分析している。

ただ、それだけでは業界紙と変わらない。読売は「環境規制への対応では出遅れており、独自性を持続させるには課題もある」と弱点を指摘した。

一方、きょうの朝日も経済面のトップは「おしゃれSUV人気」との大見出し。「ふつうの自動車より床が高く、オフロード走行を意識したデザインの『スポーツ用多目的車(SUV)』が人気だ」と強調。「売れ筋は、1990年代にブームを巻き起こした三菱自動車『パジェロ』のような硬派な印象の大型車ではなく、おしゃれな外観で低燃費の『草食系小型SUV』だ」と訴えた。

朝日はわかりやすく比較するために小型から大型の代表的なSUVを各社が提供した写真付きで掲載。小型でマイルドの例ではスズキの『イグニス』とホンダの『ヴェゼル』、大型の本格SUVの例としては、日産自動車の『エクストレイル』と三菱自動車の『パジェロ』を取り上げた。中間の大きさでは富士重工業の『スバルXV』。

しかも、記事では、排気量が3リットルを超える車種は「もはや日本では絶滅危惧種」と大手メーカー広報のコメントを引用している。

読売と朝日といえば、先週末、国土交通省がディーゼル車のNOx走行調査の結果を公表したが、両紙だけが詳しく取り上げていない。それが今回の「快走」とか「人気」の記事とは直接関係がなさそうだが、報道姿勢からも最近のメディア事情が少なからず垣間見える。

《福田俊之》

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