【池原照雄の単眼複眼】どう変わる? ダイハツの小さなクルマづくり…トヨタとの連携で新展開

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トヨタ自動車の豊田章男社長とダイハツ工業の三井正則社長
  • トヨタ自動車の豊田章男社長とダイハツ工業の三井正則社長
  • ダイハツ ブーン
  • ダイハツ工業の三井正則社長
  • トヨタ自動車 豊田章男社長(資料画像)
  • トヨタ パッソ
  • ダイハツ コペン ローブ シューティングブレーク コンセプト
◆資本自由化前から半世紀にわたる提携で成果

トヨタ自動車が今年8月1日付でダイハツ工業を全額出資の完全子会社とし、小型車分野の開発をダイハツが主体的に担うなど、両社の連携をより密にすることとなった。トヨタが2012年から実行してきたグループの車体および自動車メーカー再編の総仕上げであり、ポスト1000万台体制に向けた布石となる。ダイハツにとっても、カラを破れずにいた更なる海外展開への好機となる。

トヨタとダイハツは1967(昭和42)年に業務提携した。70年に実施された自動車産業の資本の自由化、つまり外国資本の参入解禁を前に、単独での生き残りは困難とみたダイハツがトヨタ傘下入りを決断したものだった。以来、両社はほぼ半世紀にわたって生産委託、共同開発といった提携の実効をあげてきた。67年の提携発表時の共同声明には「ダイハツはトヨタを中核とするグループの構成メンバーとなりますが、両者はおのおのの特色を生かしつつ(中略)運営することといたします」(「トヨタ自動車75年史」)とあり、この精神は、98年のダイハツの子会社化を経ても、今日まで引き継がれてきた。


◆グループ企業の完全子会社化の狙い

トヨタは常にダイハツが持ち味を引き出せるように配慮し、ダイハツも国内軽自動車販売でトップになるなどグループ内での存在感を発揮してきた。だが、今後の環境や安全技術などへの投資を考慮すると「自らの事業規模を超えるリソーセスが必要となるのは明らか」(三井正則ダイハツ社長)であり、一方で新興国向けなど、「小型車で存在感を示せていない」(豊田章男社長)トヨタと今回の合意に至った。

トヨタは08年のリーマンショック後から、グループの車体メーカーの再編に着手してきた。車体メーカーの自前開発力を一段と高めるとともに、国内生産拠点の最適配置を狙ったものだ。上場会社だったトヨタ車体と関東自動車工業を12年1月には完全子会社とした。さらに同年7月には関東自動車とセントラル自動車、およびユニットメーカーだったトヨタ自動車東北の3社合併によるトヨタ自動車東日本を発足させている。

こうした完全子会社化の利点は小さくない。上場維持に伴う決算情報開示や監査などの費用や労力が大幅に縮減できるようになる。トヨタの信用力を生かせば、個々の子会社が上場による直接金融をするまでもなく有利な資金調達も可能だ。また、リスクは少ないものの、敵対的な株式取得によるトヨタグループの経営への揺さぶりや機密事項の流出抑止にもつながる。


◆三井社長、両ブランドの個性際立たせる

もっとも、トヨタは完全子会社化ではダイハツ側の意向に十分配慮した手続きをとった。トヨタの最初の自動車工場を前身とするトヨタ車体のようにルーツが同一の企業と、自前のブランドをもち、自主性を重んじてきたダイハツとは同一には扱えないというトヨタらしい配慮だ。今となってみれば、ダイハツ生え抜きの社長としては21年ぶりとなった三井氏を13年に起用したのも今回の合意の伏線に見えてくる。

新たな連携により、ダイハツは得意とする小さなクルマの開発や低コストによる生産といった領域に経営資源を徹底集中する構えだ。軽自動車以外では排気量1リットルから1.5リットルで車体サイズも小さい分野を担う。現行の国内向けモデルでは、2BOXの『ブーン/パッソ』、SUVの『ビーゴ/ラッシュ』といったトヨタとの姉妹モデルである。三井社長は「従来に増して、ダイハツ、トヨタブランドでのデザインや仕様の差別化を図り、両ブランドの個性を際立たせる」と、決意を示す。

また、海外ではインドネシアとマレーシアでしか存在感を発揮できていない現状から、「ブランド力を世界基準に進化させる」ことで、地域的な拡大を目指していく。三井社長はダイハツブランドをBMWグループの「MINI」のような存在にしたいと例えた。今年で創立109年と、わが国最古の自動車メーカーでもあるダイハツの、これからのクルマづくりを期待感をもって注視したい。
《池原照雄》

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