中国エコカー減税、需要先食いの危険…燃費規制強化は日系メーカーに有利に働くか

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一汽トヨタが生産する カローラ ハイブリッド(参考画像)
  • 一汽トヨタが生産する カローラ ハイブリッド(参考画像)
  • ブルームバーグ・インテリジェンス アナリストのジー・シー氏
  • 中国の自動車市場動向をテーマに講演するブルームバーグ・インテリジェンス アナリストのジー・シー氏
  • 2008年からの7年間で中国の消費者の嗜好は変化し、セダンタイプからSUVへの人気の以降が見られるという
  • 中国の民族資本の新車販売シェアは減税導入後に高まる傾向にある
  • 日系メーカーは小型者の割合が低く、減税による販売増への効果は限定的とみられる
  • 電動車(PHEV/BEV/HV含む)の発売は今後さらに加速していく
  • 新型車の積極的な投入が日系メーカーの販売増を後押しした
ブルームバーグ・インテリジェンスは2月4日、東京・丸の内の同社オフィスにて2016年の市場動向を展望する講演会を開催。自動車・産業部門については、同社アナリストのジー・シー氏が登壇し、中国の自動車市場動向をテーマに講演した。


◆エコカー減税の開始で新車販売は好転も、需要先食いの懸念も

中国では2015年、景気減速の影響で自動車販売が鈍化の兆しを見せたものの、2014年比4.7%増の2459万台という販売台数を記録した。2016年はさらなる鈍化が予想されるが、中国政府は販売の落ち込みを防ぐため、2015年10月より排気量1.6リットル以下の小型車を対象とするエコカー減税を開始。この影響もあって、自動車販売は10月以降に前年同月を上回る伸びを示しており、16年に入ってからも好調が続いている。

ジー・シー氏は「2015年12月にはエコカー減税策に続く追加の景気刺激策が出されるのでは、という観測もあったが、減税開始後から自動車販売は好調に推移し在庫も順調に減ったので、政府がさらなる押し上げ策を出すことはないとみられている。旧正月にかけては増産に踏み切るメーカーも出てきそうだ」と減税策の効果を認める。

ただ同氏は、「こうした減税策は諸刃の剣にもなり得る」とも指摘。「この減税は2016年末までの時限策であり、現在の販売拡大は需要先食いにつながっているという指摘もある。減税終了後、つまり2017年以降の自動車メーカーは厳しい局面に立たされるのではないか」と警告する。


◆成長鈍化で競争は激化、日本メーカーは苦境か

同氏によれば、今回の減税は小型車を多く扱う中国資本の民族系メーカーや欧州メーカーに有利に働いているという。「2009年から2010年にかけて同様のエコカー減税策がおこなわれたが、長城汽車(グレートウォール)や吉利汽車(ジーリー)といったメーカーはこの間にマーケットシェアを伸ばした。またフォルクスワーゲン(VW)やフォードは70%以上がエコカー減税の対象であり、日系メーカーは50%にすぎない」。中大型車がラインナップの多くを占める日系メーカーにとってはエコカー減税の恩恵は限定的になる可能性をのべた。

カテゴリーとしては、SUVタイプのモデルに人気が移行していると説明。「SUVの売上は年間で65%伸びている。特に中国国内メーカーは小型SUVを多くラインナップしており、今後も増えるだろう。2016年に発表もしくはフルモデルチェンジが予想されている約120の車種のうち、半分程度をSUVが占めるとみられる」(ジー・シー氏)。

日本のメーカーについては、2015年はホンダ『XR-V』やトヨタ『レビン』といった積極的な新型車攻勢で販売を伸ばしてきたが、ジー・シー氏は主だった戦略車種の投入を終えた2016年は苦戦するのではないか、とみる。「日産はインフィニティブランドの現地生産を始めて売上を伸ばしたが、ジャガー・ランドローバーやキャデラックといった他のブランドも現地化を進めており、高級車マーケットも競争はいっそう激化する。新型車を投入しつづけなければ高い成長率を保つことは難しい」と語る。


◆2020年の燃費規制に向け電動化推進、HV技術を持つ日系メーカーに有利か

最後にジー・シー氏は、中国の環境規制について言及。中国政府は2020年までに各メーカーが販売する車種の平均燃費を20km/リットルに向上させるという目標を掲げると共に、ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド(PHEV)もこれに含めてカウントするという環境規制を定めた(EV/PHEVについては購入補助金も給付)。従来の内燃機関エンジンのみではこの数値は達成できないため、「各メーカーはニューエナジービークルと呼ばれる電動車の生産を迫られるだろう。2015年は電動車の販売が前年比約4.4倍に伸び、車の製造コストにおけるバッテリーの比率は大幅に下がっている。バッテリーパックの価格は2015年を通じて35%下がっており、向こう4~5年で電動車も内燃機関車もパワートレーンのコストは変わらなくなるという見方もある」と説明する。

2020年の燃費規制をクリアするためには、ハイブリッド技術の導入が不可欠であり、ジー・シー氏はこの点で日本メーカーにとっては有利な状況になる可能性を指摘。「ハイブリッドはバッテリーEVが普及するまでの橋渡し役になる。中国政府はマイルドハイブリッド/フルハイブリッドを大気汚染の解決策の切り札にしており、トヨタやホンダ、ヒュンダイやキアといったメーカーもハイブリッドの積極投入と現地化をさらに推し進めていくだろう」。
《北島友和》

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