2016年の今「ファミカセ」を作り、売る男たち

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【特集】2016年にファミカセを売る男たちの軌跡 ― FC完全新作『8BIT MUSIC POWER』の魅力に迫る
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漫画家としても活躍しながら、8BITテイスト溢れるジャンピングACTゲーム『キラキラスターナイト』を監修・製作した事でも知られているRIKI氏。得意とする可愛い少女の描写はもちろん、ゲームとしても高い完成度を持つ一作として、ユーザーから高評価を博しました。

販売された『キラキラスターナイト』はWindowsソフトですが、自作した4MビットROMカートリッジにゲームプログラムを収納し、ファミコン実機上での起動をお披露目したこともあります。最大で16段階に分割しながら多重スクロールする背景や、ファミコンでは難しいと言われていたラスタースクロールなどを実機上でも見事に実現させ、ハードの限界を超えるかのような演出の数々で多くのプレイヤーを驚かせました。

漫画だけに留まらず、ゲームという形での表現も行うRIKI氏。このほかにも至近では、アニメーションスタジオ「シャフト」の設立40周年を記念する展示イベント「MADOGATARI展」の待機列向けに流れたマナー予告映像の全素材およびドット画像を制作するなど、幅広い活躍を見せています。
そんなRIKI氏が新たに手がけたのは、なんと本物のFCカートリッジ。しかもゲームではなく、CDをオーディオに入れるようにカートリッジをFC/FC互換機に差し込み、文字通りの
8ビットミュージックを楽しむ音楽アルバム『8BIT MUSIC POWER』のリリースに踏み出しました。

この『8BIT MUSIC POWER』に関して当サイトでは何度か取り上げさせていただき、その都度大きな注目と反響がありました。発売予定時期の2016年1月に、完全新作のFCカートリッジが出るとは、夢にも思わなかった方も多いでしょう。また、実機だからこそ“完全な”8BITチップチューンアルバムとも言えます。これだけ衝撃的な魅力を備えていれば、気になる方が多いのも頷ける話です。


それだけに、『8BIT MUSIC POWER』に対して気になる点が多いのもまた事実。また、RIKI氏の人となりや制作に踏み切った経緯などにも興味が湧くばかり。そこにはどんな開発秘話が隠れているのか、RIKI氏と『8BIT MUSIC POWER』の製作・販売を手がけるコロンバスサークルの平峰斉氏に、このたび直撃インタビューを行わせていただきました。

お二人をお呼びした場所は、東京都新宿区荒木町にあるユニークなゲームカフェ・バー「Ninety.」。店内には、ゲームを中心とした80年代から90年代のサブカルチャーアイテムが溢れんばかりに並べられており、レトロゲームファンならば文字通り“美味い酒”が飲めそうなスポットです。

インタビューなのでもちろん飲酒は控えましたが、プライベートで改めて足を伸ばしてみたいと思わせる魅力に溢れており、RIKI氏や平峰氏も楽しげに店内を見渡し、懐かしいタイトルを見つけては一喜一憂。そんなゲーム愛に包まれた場所で、懐かしくも最新の『8BIT MUSIC POWER』に関する話が幕を開けました。

◆『8BIT MUSIC POWER』の始動から、こだわり抜いたポイントの数々をご紹介
──それでははじめに、『8BIT MUSIC POWER』にどのような形で関わっているのか、自己紹介をお願いします。


RIKI氏:初めまして。イラストレーター・漫画家のRIKIと申します。本業は今述べた通りなんですが、趣味でゲーム作りをやっており、『キラキラスターナイト』を2013年にリリースしたんです。この『キラキラスターナイト』を作ったことで、FCソフトを作るノウハウができてしまったんですよ(笑)。

──できてしまったんですね(笑)

RIKI氏:それで「何か作りたいな」と思っていたら、ちょうどタイミングよくコロンバスサークルさんの方から、「最新のFCソフトを何か作れませんか?」という打診がありまして。

──“最新のFCソフト”というフレーズが21世紀に飛び出すというのは、なんだか凄いですよね(笑)。

RIKI氏:実にトキめくフレーズでした(笑)。最初の時点では『キラキラスターナイト』をFCソフトにしたいというお話だったんですが、折角なので新作を作ってみようという話になりまして。そこで「じゃあどうしようか」と思った時に、前々から暖めていたやりたかった“チップチューン”でどうだろうと提案してみたんです。

あ、“チップチューン”という言葉に馴染みがない方のために簡単に説明しますと、FC風だったり、昔の8BITっぽいような曲を生み出すチップチューン音楽というジャンルがあるんです。中には、本物の実機で音楽を鳴らして収録しましたっていうものもありまして。だったら、完全に実機で聴くための音楽アルバムをカセットで作れたら格好いいなと思っていたのが、今回に繋がったわけですね。

──今回のは、FC“風”ではなく、ですよね。

RIKI氏:はい。どうせなら“本物”で聴きたいなと。で、この話をコロンバスサークルさんに持っていったところ、賛同していただけました。

平峰氏:そして私が、コロンバスサークルで広報や一部デザインなども担当しています。いわゆる何でも屋と言いますか、そんな感じです(笑)。

──コロンバスサークルさんは、FCなどの互換機も出していますよね。

平峰氏:その関係もありまして、いつかソフトを出してみたいという気持ちが前々からあったんですよ。そういった話を知り合いの方としていた時に、RIKIさんをご紹介いただいたんです。そしてRIKIさんとお会いして話をした時に、『8BIT MUSIC POWER』の企画を教えていただき、これは是非やってみたいなと。

RIKI氏:色んな意味で挑戦だったと思いますよ。今の時代にカセットで、しかもゲームでもないわけですから。この企画にGOサインが出たのも、平峰さんが会社を説得していただいたおかげですし、そのチャレンジ精神あってこその『8BIT MUSIC POWER』です。一番の味方でしたね。

平峰氏:どっちに転ぶかは実際に発売されないと分かりませんが、直観的に「これはイケるだろう」「賛同してくれる人も多いに違いない」と思い、作ってみたくて突っ走りました。出来上がりも非常に良くて、社員一同大満足です(笑)。

──平峰さんにとっても、こだわり抜いて関わった一作だったんですね。

平峰氏:実機で聴いてこそ“本物のサウンド”だろうというのは、私も同じ気持ちです。。わざわざ実機で聴くというのは“不便さ”もあるとは思うんですが、その手間や面倒さも楽しみのひとつにしてもらえる、大人の楽しみ方ができる方々に向けたものですね(笑)。

RIKI氏:どう考えても、無茶苦茶逆境なんですよ(笑)。音楽アルバムをFCカセットでリリースするなんて、在庫リスクとか考えたら怖くてできません。

──それでもFCカセットとして踏み切った理由は、やはりこだわりですか?

RIKI氏:元々、FCゲームを「カセットで遊んでもらいたい」という気持ちが強かったんです。だから今回のお話をいただくよりも前に、自分で独自に開発したこともあるんですよ(笑)。

──FCカセットを独自で!?(笑) 流石ですね。


RIKI氏:しかし作ってみて分かったんですが、原価が高すぎたんです。はっきりとは言いませんが万単位でかかるので、みんなが考えているような値段で提供できない、というのが当時の結論でした。でも今回、コロンバスサークルさんの方で「みんなの手に届きやすい価格でFCカセットを作ることができる」とのお話をいただき、一緒にやってみたいなという気持ちが一気に高まりました。

──FCカセットというこだわりは、むしろプロジェクト始動に臨む上での大前提だったんですね。ちなみに“チップチューン”をやってみたいという想いは、『キラキラスターナイト』が終わった後からずっと考えていたことなんですか?

RIKI氏:実は『キラキラスターナイト』が終わった後、次はシューティングゲームを作ろうかなと考えていたんです。そのために下準備をしようかなとちょっと動き始めていたんです。そのため、『8BIT MUSIC POWER』のシステム部分に少しだけシューティングの部分が残っているんです。

──残っているというのは、具体的にどういう意味でしょうか?

RIKI氏:ミニゲームが入っているんです。『8BIT MUSIC POWER』は、ゲームではなく音楽アルバムなので、本当は入れたくなかったんですが(笑)。でも求める声があるだろうなと思いましたので、どうしても触れてみたいという方に向けて「雰囲気だけでも」という意味でちょっとだけ入れました。ブレちゃうから入れたくなかったんですけどねぇ(笑)。

平峰氏:ユーザーさんとしては、動かして楽しみたいという欲求もあると思うので。何かしら入ってる方が、やっぱり楽しいですよね。

RIKI氏:ただ、ミニゲームといえども、時間や人件費はかかってしまうんですよね。入れるとなればこだわってしまうのも分かっていたので(笑)。先ほど話したブレてしまうというのもありましたし。だから、モノとしては出来上がっても、入れるかやめるかは最後まで悩んでましたね。

──でも最終的には、ユーザーさんへのサービスとして導入したと。

RIKI氏:やっぱりそこでした。みんなに、手に取りやすい価格で、当時のことを懐かしんでもらえたら嬉しいなと。今時、スマホでは無料でゲームが遊べますし、ゲームアーカイブスやバーチャルコンソールなら千円前後やもっと安い価格で昔のゲームが遊べるわけじゃないですか。そんなご時世に、FCカートリッジを出すという浪漫!(笑) この浪漫にお金を払ってもいいと思ってくださる方に、サービスしないわけにはいきませんよ。

──作る側も受け取る側も、まさに浪漫に溢れていると思います。ちなみにこれだけのこだわりを持つというのは、やはり8BITへの強い思い入れ故でしょうか。


RIKI氏:8BIT大好きですね。今漫画家をやってますし、『キラキラスターナイト』を作るほどゲームも好きなんですが、実は子供の頃、FC持ってなかったんですよ(笑)。泣いても叫んでも買ってもらえなくて。その時培われたハングリー精神が、色んな形で表現に繋がっている感じです。

『キラキラスターナイト』にしても、自分が欲しいと思うものを詰め込んで作りました。ゲーム性自体もそうなんですが、デモにもこだわっているんです。昔のゲームってずっとタイトル画面のままというのも少なくないんですが、この『キラキラスターナイト』のデモは飽きない感じになっているんですよねー。

──並ならぬ思い入れの強さですね。

RIKI氏:デモにもすごくこだわった作品だったんですが、更にもっと工夫したいなと思って『8BIT MUSIC POWER』に取り組みました。言い換えればこのカセットは、デモの塊ですよ(笑)。今回も、作りたいものを作りました。

自分は、絵を描きながらFCソフトの音楽とか聴くとグッとくる人なんです。最近レトロゲームのCDとかがよく出ているので買って聴いてるんですが、これが本物のゲーム機から流れてくる音楽だったらもっと最高じゃないかなと思いまして。

──作りたいものというのは、作り手側のこだわりという話だけでなく、受け手として欲しいもの、という意味でもあるわけですか。

RIKI氏:最近のゲームは、本腰入れないとやれなくなっちゃってる面もあるじゃないですか。ボリュームも凄いし、CGも綺麗で圧倒されますし。なのでそこをもっとカジュアルにして、つけっぱで音を心地よく楽しみつつ、ふと画面を見るとFC時代を想起させるグラフィックが展開している。そういった雰囲気を作りたかったんですよね。

──ゲームの腕前に左右されることなく、またクリアするというプレッシャーとも無縁という形で、ナチュラルにレトロゲーム時代の魅力にアクセスできる。それが『8BIT MUSIC POWER』の魅力のひとつなんですね。


RIKI氏:楽曲の中には、FCという制限の中でものすごく斬新な表現を盛り込んだ方もいるんですが、逆にわざと当時のまんま作ってくれた方もいまして。

──当時のまま作られたというのは、どなたですか?

RIKI氏:国本剛章さんです。『スターソルジャー』や『迷宮組曲』、『ヘクター'87』などの音楽を手がけられた方です。

──おお! どれも、当時のゲーム少年ならばピンと来るタイトルばかりじゃないですか。では、斬新な曲を作られたという方は?

RIKI氏:FCを楽器として使う、若くてパワフルなクリエイターさんがいるんです。チップチューンの第一線でガンガンやってる、Tappyさんという方が。今回の楽曲の中では一番テクニカルで、FC音源に聴こえないような音色使いをしています。だからユーザーさんは驚くでしょうし、嬉しいと思いますよ。

──期待が膨らみますね。楽曲を手がけた他の方に関しても伺ってよろしいでしょうか。

RIKI氏:そうですね、まずは・・・(実際に音楽を流しながら)・・・この曲はHallyさんですね。スマホだと『シューティングゆうしゃ』、携帯ゲーム機では『マイティガンヴォルト』を担当されました。

──お、パンチのある曲ですね!

RIKI氏:40超えてるオジサンなんですけど、なぜか“チップチューン界のアイドル”と呼ばれていまして(笑)。すごく面白い人で、クラブシーンにFCを持ち込んだ国内初の人です。その世界では伝説の人ですよ。あ、さきほどお話した国本さんの曲はこちらです。

──これはまた、ポップかつキュートな。

RIKI氏:めちゃめちゃキャッチーですよね。さすがです。そして次は、佐野広明さん。アニメの『セキレイ』や『魔法少女リリカルなのは』などが代表作で、実績も豊かでやり手な人です。

──テンポいいですね、この曲聴きつつ戦いたいです(笑)。

RIKI氏:そしてこちらの曲は、与猶啓至さんになります。『神咒神威神楽』とか『あすか120%』、『マッドストーカー』など、ゲームジャンルも幅広い方ですね。ちなみにFCでの楽曲作りは、今回が初めてとのことでした。

──FC初挑戦ですか。それで、どのような曲を生み出されたのでしょうか。

RIKI氏:それがですね、初めて挑戦したFC楽曲なのに、敢えて“汚い音をいっぱい重ねて格好良く聴かせる”という、すごく大胆な手法で挑まれたんですよ。初挑戦で、普通そんなことできませんよね。その上、出来上がりもめちゃくちゃ良くて、感動しました。

──確かに、一度聴いたら耳から離れなさそうですね。

RIKI氏:今度の曲は、サカモト教授です。FCっぽくない曲調でお洒落。味わいもあって、これも良いですよー。実は、カセットの容量も決まって曲も入れ終わり、開発の最後の仕上げをするかという段階の時に、ゲームのイベントに参加していたサカモト教授の舞台を見て感動してしまい、イベント終了直後に「お願いします」って言っちゃたんですよ。もう時間もない時期なのに(笑)。

──『8BIT MUSIC POWER』開発終了間際に、まさかの参加依頼を(笑)。

RIKI氏:そしたら「面白そう、やるやる」と二つ返事をいただきまして、まさかのコラボが実現しました。一番最後に現れた戦士ですね、「ヒーローは最後に来る」的な(笑)。


──こういうタイミング、不思議とピタッとハマるんですよね。

RIKI氏:アーティスト11人の楽曲が見事に集まりましたね。あ、この曲の人はSaitoneさん。「月面兎兵器ミーナ」や「鉄コン筋クリート」のRemixアルバムとかを手がけていて、自分もCDでよく聴いてる人でした。この人の曲はゲームだと合わないので、アルバムだからこそ頼めた人なんですよ。

──『8BIT MUSIC POWER』だからこその参戦実現ですか。

RIKI氏:めちゃめちゃスペイシーで、独特なんですよね。SaitoneさんもFC初なのに、よくぞここまでやってくれたと思います。

──初挑戦でこの曲とは、恐れ入るばかりです。

RIKI氏:みんな苦労して作ってくれてました。そして今流れている音楽は、梶原正裕さんの曲です。PC版『夢幻戦士ヴァリス』や、ガイナックスが出していたPCゲームの音楽を大半手がけています。「ふしぎの海のナディア」とか「プリンセスメーカー」、「電脳学園 トップをねらえ!」もそうですね。音楽ドライバを自作するほどの、筋金入りの方です。

──おお! 何から何まで凄い方ですね。

RIKI氏:今回、『ヴァリス』の戦闘シーンのような感じでとお願いしたんですが、これも実にいい感じの曲になっています。

──聴いていると高揚しますね。テンションがあがってくるような。

RIKI氏:いい感じですよねー。次は、『ゼビウス』や『ディグダグ』、『ドラゴンバスター』など多くの代表作を持つ、慶野由利子さんです。

──FC好きにはたまらないゲームばかりですね!

RIKI氏:『8BIT MUSIC POWER』では、PCMをひとり当たり8キロ使っていいという割り振りにしたんです。あと音楽のMMLに8キロという制限でした。ちなみにこのPCM、音楽面でも高く評価されているとあるFCゲームでも、PCM2キロとかなんですよ。

──当時2キロでも凄かったものが、『8BIT MUSIC POWER』ではふんだんに使われてるんですね。

RIKI氏:そして慶野さんの凄いところなんですが、このPCMを派手なところに使いたいと言って、銅鑼の音を美しく大音量で鳴らすことにしたんです。これがその音でして。

──すごくクリアですね! FCでこんな銅鑼の音、聴いたことありませんよ。

RIKI氏:ですよね。FCで銅鑼を鳴らしたソフトといえば『マクロス』が脳裏を過ぎる方も多いと思いますが、あちらは内蔵音源で、こちらはPCMです。ちなみの最初の頃、慶野さんは高周波のパルスを三つくらいかけ合わせて、ドラゴンの咆吼みたいな音を作ったんですよ。「ウギャー、ゴワーッ」みたいな音から曲が始まるっていう。そっちもかなり好きだったんですけど、聴いた人がぎょっとするんじゃないかと思ったらしくて、銅鑼で格好良く締めた形になりました。

──ドラゴンの咆吼バージョンも、何らかの形で聴いてみたいですね。

RIKI氏:それと、Tappyさんの曲も流しますね。これなんですが・・・クレイジーですよね。

──確かにこれは・・・FCとは思えない音が鳴ってますね。かなり派手ですし。

RIKI氏:当時では、まず鳴らせない音だったと思いますよ。拡張音源なしでこの表現というのは、本当に見事です。和風のテイストも入っているので、じっくり堪能して欲しいですね。

──いい意味でメチャクチャですね。

RIKI氏:聴く人が聴いたら、驚きの連続だと思います。・・・そしてこれはOmodakaさんですね。プレステ系だと『サルゲッチュ』や『ファンタビジョン』などを担当されました。TV関係でも活躍されていて、「大!天才てれびくん 2012」もOmodakaさんなんです。

──「天才てれびくん」のOP曲のひとつじゃないですか。

RIKI氏:Omodakaさんが今回作った曲は、音が気持ちいいんですよね。いいスピーカーで大音量で聴いて欲しい! ドラムも派手ですし。・・・あ、ドラムと言えばちょっと余談になるんですが、Tappyさんが非常に高い技術力を持っていて、またOmodakaさんのファンだったということもあり、Omodakaさんの曲の移植をお願いしたんです。

Tappyさんはチップチューンのテクニックが卓越していて、わざとエラーを出させるという手法を使ってまして。このエラーで起きる「ブチッ」という音がノイズで重みがあるんです。そしてPCMが鳴る始まりの瞬間にこのエラーを起こして、「ブチッ、ボワーン!」っていう重みのある音に仕上げてくれたんです。本来のFCでは聴けないようなドラム音なので、こちらにも注目して欲しいですね。

──そう言われると、いいスピーカーで聴きたくなります。


RIKI氏:そして最後に、塩田信之さんの曲です。今も高額なプレミア価格がついている『サマーカーニバル'92 烈火』の人ですね。他にも『ブライファイター』や『ドキドキ遊園地』などがあります。この人はとにかく仕事量が多くて、すごく忙しい方なんですが、今回のために7分もの長尺な楽曲を用意してくれたんです。

──大作じゃないですか!

RIKI氏:FCの楽曲という点だけで考えても大ボリュームですよね。当時のゲーム音楽は、15秒で延々ループするというものが多かったですから。ちなみに『8BIT MUSIC POWER』の楽曲は全て、ループ曲ではなく、1曲として完成しているものなんです。音量がゼロから始まり、ゼロで終わるという。

──歴とした1曲なんですね。

RIKI氏:「1曲として完成されたFC楽曲を作る」というのは、当時手がけていた方々にとっても決して頻繁な状況ではないと思うんですよ。例えば、タイトルやエンディングくらいじゃないですか。

──確かにそうですね。しかも、エンディングのないゲームも少なくありませんし。

RIKI氏:だから、FC音楽が未経験だった方だけでなく、経験者にとっても挑戦だったと思いますよ。今回の楽曲作りは。その結果、トータルで44分という、まさに音楽アルバムというボリュームとなりました。

──なるほど。『8BIT MUSIC POWER』は、カセットでリリースするという面だけでなく、曲作りに関してもチャレンジ精神に溢れていたわけですね。

RIKI氏:はい。ミュージシャンの方々にとっても、また容量に関しても、挑戦でしたね。よく「昔と比べると、たくさん容量使えるんでしょう」と言われるんですが、カセットの制限は昔と変わらなかったんですよ(笑)。ただただ工夫しまくった、っていう。そして、その容量を全部使い切りました!

──HDDの容量がテラバイト当たり前というこの時代に、容量との戦いがあったわけですね。感慨深いばかりです(笑)。

RIKI氏:キロバイトの世界ですからね(笑)。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

立ち上げの経緯や、ミニゲーム収録といった驚きの話、そして豪華極まりないクリエイター陣の特色などをたっぷりと教えていただきましたが、インタビューはまだまだ終わりません。後編では、開発の裏話やRIKI氏の意外な経歴も明かされ、『8BIT MUSIC POWER』の本質へと迫ります。そちらの公開もお楽しみに。(後編はこちら

■撮影場所:ゲームカフェ・バー「Ninety.
●住所:東京都新宿区荒木町16-16-2 ベルウッドビル2F
●電話:080-1210-6132
●営業時間:
・平日:17:00~24:00
・日/祝:13:00~22:00
●公式Blog:http://interhits.co.jp/blog/

【特集】2016年にファミカセを売る男たちの軌跡 ― FC完全新作『8BIT MUSIC POWER』の魅力に迫る

《臥待 弦(ふしまち ゆずる)@INSIDE》

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