新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、福祉用具の開発にも力を入れ、これまでに200以上の助成を行ってきた。今回の国際福祉機器展では、「そのうち近年製品化に成功した、日常生活を便利にする10点を展示した」(同機構関係者)そうだ。
その10点とは、腰痛予防用装具、お財布型紙幣識別機、小型ジャイロ傾斜角計測器、自立支援コミュニケーションロボット、軽度難聴の早期発見ソフト、コミュニケーションアプリ、認知症患者用非接触ベッド見守りシステム、頸髄損傷者用電動車いす操作入力用液晶モニター、車いす乗車用電動三輪車、次世代パーソナルモビリティだ。
なかでも来場者の注目を浴びていたのが、ワイディーエス(本社・神奈川県座間市)の車いす乗車電動三輪車「ホイールチェアビークル」。これは車いすに乗ったまま、簡単なレバー操作で乗車できる新感覚ビークルで、その周りには常に人が集まり、実際に車いすの人が試す光景が見られた。
速度も時速40km/hほど出すことができ、地方の高齢者から注目を浴びているそうだ。「近くのコンビニへ行くのに、車だと乗り降りするのが大変ですが、これなら簡単に乗り降りできますからね。しかも狭いところに駐車できると、重宝がられています」とNEDO関係者は説明する。
そのほか、面白いものがテックアイオーサービス(本社・神奈川県川崎市)のお財布型紙幣識別機「ウオレット」。これは視覚障害者のための製品で、紙幣を入れてボタンを押すと、財布に入っている金額を数えて音声で知らせてくれるのだ。さらにボタンを長押しすると、スイカやパスモなど電子マネーカードの残高まで音声で知らせてくれるという。
「このような展示会に出展することで、実際に障害者から生の声を聞き、ニーズを調べ、今後の福祉用具の開発助成に役立てていきたい」とNEDO関係者は話していた。