気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年10月6日付
●TPP大筋合意巨大経済圏誕生、発効は来年以降(読売・1面)
●ノーベル賞大村氏、生理学・医学賞(読売・1面)
●国交相に公明・石井氏、太田氏交代、山口代表、首相に要請(産経 ・2面)
●TPP自動車業界歓迎の声、米の関税は25年後に撤廃(産経・10面)
●VW日本販売9.1%(東京・7面)
●トヨタ、タイで開発「自立」技術者1400人体制に、いすゞはトラックの車体(日経・11面)
●世界ブランドランキング、トヨタ、最高の6位、米社調べ(日経・14面)
●日産、「軽」EV初公開東京モーターショー(日経・15面)
ひとくちコメント
「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意したことを歓迎します」。10月6日未明、日本自動車工業会の池史彦会長が緊急声明を発表するなど、TPP交渉は、米アトランタで開かれた閣僚会合で参加12か国が大筋合意したという。
来年1月にも協定に署名し、各国の承認手続きを経て2017年にもTPPが発効する見通しだ。
きのうに引き続き、きょうの各紙も「TPP大筋合意」を1面などで詳しく報じている。だが、焦点の一つだった米国が日本から輸入する乗用車にかける関税は、TPPの発効から14年は現行の2.5%を維持。それから段階的に削減をはじめて、22年目で0.5%、25年目ですべて撤廃するという。
また、日本から輸出している自動車部品への関税については、米国が協定発効後、輸出金額ベースで8割を超える品目で関税を即時撤廃するが、ただ、残る部品のうち、米国製と日本製が競合しやすい、エンジンの一部の関税は5年で撤廃を、パワーステアリングは7年で撤廃するなど一定の期間を設定するそうだ。
きょうの産経は「自動車業界歓迎の声、米の関税は25年後に撤廃」とする一方で、東京が「日本粘らず米に譲歩」として「車輸出25年かけ関税撤廃」は「米側に主導権を握られ、肝心の米市場で即効性のある果実は得られなかった」と指摘する。
また、朝日は「現地生産進み輸出は減少」として「輸出への大きな恩恵は期待しにくい」と取り上げた。読売は「交渉参加遅れ、車関税でツケも」とのサブ見出しで、「誤算」とも伝えている。たしかに、5年後の世界の自動車産業の勢力図を描くのは至難の業であり、大筋合意とはいえ、多くの宿題も残されたようだ。