そのフットワークの良さに驚いた。かといって乗り心地が硬いわけではなく、逆にウルトラ滑らか。『XE』はドイツ御三家のメルセデス、BMW、アウディと違ったプレミアムセダンとして別のキャラクターを作り上げることに成功したと思う。
ワインディングロードでは正確なステアリングにまるで一回り小さい小気味のよいスポーツカーを操っているようで、まったく痛快。正確に反応するハンドルは市街地でも安心できる。ハンドルの操舵力の重さも適切で、最小回転半径も含めて全長4650×全幅1850mmのサイズを感じさせない。
ジャガーはXEをスポーツサルーンとして定義しており、全高は1415mmと低めの設定。全高の高いクルマに慣れているドライバー/乗員にはヘッドクリアランスなどちょっと狭く感じられるかもしれない。これは後席も同様でジャストフィットだ。
同時に欧州車にありがちだが、トランクスペース容積は大きいものの日本における基準となるゴルフバッグ搭載の利便性などはあまり考慮されていない。
4気筒の2リットルターボは『イヴォーク』と共通で、ECUによって200ps仕様と240psの2モデルある。ベーシックモデルでも十分以上なパフォーマンスを発揮してくれ満足。8速ATとの相性も良い。さらに3リットルV6スーパーチャジャーの340psもあるが、こちらはパワフルかつ上品なパワーフィール。標準のアダプティブ・ダンパーはさらに絶妙な乗り心地とハンドリングを提供してくれる。
このクラスに無くてはならいものになった安全デバイスも充実しており、乗るほどに満足感の高いプレミアムスポーツサルーン仕上がっている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
お勧め度:★★★★★
日下部保雄|AJAJ会長/モータージャーナリスト
大学在学中からモータースポーツに参戦し、卒業後は専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起などの分野で、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、WEBにおいて活動。またその経験を活かした講演、研修などに携わる。ドラインビングインストラクターとして、安全運転のためのドライビングスクールを主宰するなどの実際面からの安全へのフィードバックも行っている。2006年よりAJAJ会長に就任。