【注目軽&コンパクト】車内空間を徹底比較、多彩なパッケージングの魅力

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【注目軽&コンパクト】車内空間を徹底比較、多彩なパッケージングの魅力
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  • ホンダ N-BOX G・Lパッケージ
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  • 三菱 eKスペース(ショコラブラウンパール×ホワイトパール)

子どもの塾やお稽古ごと、最寄り駅までの家族の送迎、毎日の買い物など…。ありとあらゆる用途をサラッとこなしてくれる頼れる存在。そんなコンパクトカーや軽自動車は、何といっても小さめのボディに大きな使い勝手を凝縮した高効率パッケージングと車内スペースが特徴だ。

今回は、人気のハイトワゴン軽自動車であるホンダ『N-BOX』、三菱『eKスペース』、新型モデル登場となったコンパクトカーのトヨタ『シエンタ』『ポルテ/スペイド』をカタログスペックで比較してみたい。

◆“技”を駆使した軽自動車、規格にとらわれないコンパクトカー

なかでも今どきの“ハイト軽”の優秀さは見事。その“秘訣”が室内高の高さだ。軽自動車の限られた枠のなかで“タテ方向のゆとり”をとることで最大限にスペース効率を追求、実際の試乗でも素直に「広い!」と思わせられる空間が確保されている。

たとえばN-BOX、eKスペースの室内高は1400mmと、軽の同クラス最大級。カタログにも“身長123cmの男の子が立って着替えができる”などと謳われているとおり、まさに部屋のよう。また天井が高ければ実際の乗り降りも楽だし、乗車中も天井までが見上げるような高さなので、実際のスペース以上のゆとりを感じさせてくれる。ハイト軽は室内高を高くとる“技”を駆使し広々空間を実現しているというわけだ。

一方コンパクトカー勢は、軽自動車のように“規格”の制約を受けないのが有利。そのため室内長、室内幅のアドバンテージは大きい。新型のシエンタでいえば、1470mmの室内幅と2535mmの室内長は、当然だがハイト軽をも大きく凌ぐ。しかもシエンタは“トヨタ最小ミニバン”とも謳われていて、3列/7人乗り(または6人乗り)も可能にしており、この点では大型セダンをも負かしてしまうポテンシャルをもつ。各座席の間にも余裕のスペースがあり、便利なウォークスルーを実現。助手席側からスライドドアを開けて、運転席に乗り込むこともできる。

片や軽自動車はというと、室内空間がたとえ広くても乗車定員は4人まで。イザという時に知人、友人を乗せられず不自由な思いをした…そんなユーザーもいるのでは? その点シエンタのように大人数での移動も可能なら、心強いし、使い勝手の点で、とても「いいね!」な車なのである。

もう1台、同じコンパクト系のポルテ/スペイドは、シエンタより全長がグンと短く4mを切っている。ところがボディ全幅はシエンタと同じ1695mm(5ナンバーサイズ)で、室内幅も当然ながら軽自動車を上回る余裕だ。なのでしっかりと5人乗車が可能。室内高は数字では1380mmだが、天井を楕円に凹ます形状にし、実質的な空間を稼ぎ出している。

◆シートアレンジが生み出す車内空間の可能性

ではファンクション(機能)はどうか? 多彩さでは、シエンタの“フラットシートフォーメーション”が注目だ。これはサードシートをセカンドシート下のスペースにダイブインさせて格納、低床で広いラゲッジスペースを生み出す仕掛け。セカンドシートをハネ上げておけば1430mmのスペースが生まれるほか、セカンドシートを座れる状態へと戻せば、ステーションワゴンのように5人+ラゲッジスペースとしての使い方もできる。

実はダイブインの機構自体は先代から採用済みだったが、新型ではサードシートを従来の左右セパレート型から幅広のベンチ型に改良。とはいえシートサイズを拡大させながらも、パズルのような独自の格納はキャリーオーバーしている。新型シエンタではハイブリッド車も設定し、床下の構造物(バッテリー、ガソリンタンクなど)は一層複雑に。にもかかわらず、低床化や定評のシートフォーメーションを両立させているのである。

機能的という点では、ポルテ/スペイドも助手席ロングスライドやウォークスルー、後席ハネ上げなどで、自在な使い勝手と室内空間の有効活用を可能にしている。5シーターの普通の乗用車として使えるだけでなく、時には26インチ自転車の積載も可能であったりと利便性が高い。また左右非対称ドアは同車の特徴だが、左側のスライドドア部は、開口幅1020mm、開口部高さ1250mmと、5ナンバー上級ミニバンにヒケをとらない大開口としている点が注目だ。

ハイト軽2車も有効な機能を搭載。後席スペース(とくに足元の広さ)を稼ぎ出すのに有効なシートスライドは、N-BOX(タイプ別メーカーオプション)が190mm、eKスペースが260mm。この後席スライドのおかげで、居住スペースを確保したり、ラゲッジスペースを拡大させたりとフレキシブルな使い勝手を実現。さらには後席を畳んでラゲッジスペースを拡大させられたり、片側のシートを起こしたままにし、3人+大きめの荷物(長尺物)の積載といったモードも可能だ。

ハイト軽に限らず軽自動車の場合、フル乗車時のラゲッジスペースには限りがあるのは事実。けれどアレンジの工夫で、積載荷物、乗車人数に応じ、小ささを補う使い方ができるようになっている。

そのほか、多用途性の意味から“車いす仕様車”の設定も忘れてはならない。シエンタに設定されているのは、なだらかな9.5度のスロープと、ゆるやかに車高を下げるエアサスペンション付きのモデル。またポルテ/スペイドには、助手席が電動で回転・昇降する“助手席リフトアップシート車”や、脱着シート+専用車いすを装備する“サイドアクセス車”が用途に応じて用意される。ハイト軽では、N-BOXの派生車の『N-BOX+』に、バックドア部にスロープを装備したモデルがある。

見てきたように、今どきのコンパクトカー、ハイト軽、いずれも“ご自宅用”としての使いやすさ、実用性の高さはかなりのレベル。日本車らしく、小ささを少しもネガにしない緻密な設計には頭が下がる思いだ。その中で軽自動車の手頃さも認めた上で、シエンタの7人まで乗れる強み、コンパクトカーならではの(軽に対する)余裕は見逃せない。ゆとりのあるパッケージングは、遠出の際の快適性もプラスされるはずだ。奮ったルックスの新型シエンタは、外側だけでなく内側もワクワクさせられる使い心地のよさをビルトインしているのである。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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