【BMW 2シリーズグランツアラー 試乗】困った時の7人乗車、ディーゼルのスムーズさに驚き…中村孝仁

試乗記 輸入車
BMW 2シリーズグランツアラー(218d)
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それはいかにもファミリー層向けの3列7人乗りのモデル。BMWもこんなクルマを作るようになったんだなぁ...というのが正直偽らざる感想だった。それが『アクティブツアラー』から派生した3列シート仕様の『グランツアラー』である。

全長で215mm、ホイールベースで110mm、アクティブツアラーより拡大して3列目のシートを構築したもので、カテゴリーとしてはまあミニバンと呼べる存在。もちろんBMWがこの種のモデルを作るのは、これが初めてだし、BMWは間違ってもミニバンなどとは呼ばない。車重はアクティブツアラーと比較して110kg重い。どちらもディーゼルエンジン搭載車での比較である。そのディーゼルエンジン搭載車「218d」を今回は試してみた。

乗り出してすぐに、ん!? という印象。なぜなら、これまでのBMWディーゼルといえば、『3シリーズ』やMINIに搭載されていたN系のエンジンが4気筒ディーゼルで、縦置き横置き双方に使われていた。しかし、MINIと比較するのはどうかと思うが、横置きにしたこのディーゼル、これまでのBMW4気筒ディーゼルとはまるで別物である。これまでだとアイドリング時の車外音はかなり大きめで、アイドリングも少々ラフなところがあった。回り出してしまうとスムーズだったのだが、それが今回の場合、車外音がかなり小さめ。それにアイドリング時もスムーズ。もちろん回り出してしまえばほとんどディーゼルと気付く人はいないほど軽快で滑らかだ。で、結論を先に話すとこのエンジン、全く新しいB系というモジュラーユニット。すでにガソリンでは登場しているが、ディーゼルが日本市場にお目見えするのはアクティブツアラーと共に、これが初である。ややこしいことは省くが、従来のN系に対し明らかにスムーズで静かになっている。

さすがに110kgも重いと、同じエンジンだからアクティブツアラーと比較して加速の点ではだいぶ劣る。しかし、だからと言ってグランツアラーが鈍足かというと、そんなことはなく、むしろアクティブツアラーのディーゼルが駿足なだけ。8速ATを奢っているから、加速感も納得だし、アクセルをガツンと踏み込んだ時のけり出しも十分である。

問題の使い勝手だが、まず3列目のシートはクッションも薄く、そもそも床が高いから、大人が乗れば当然膝を抱えるような姿勢を取らざるを得ない。それにスペース的にはヘッドルーム、ニールーム共にミニマムで、2列目のスペースを前に出して犠牲にしない限り、3列目に大人が乗ることはまず不可能だ。というわけで、大人7人という想定は、まさしく困った時のショートトリップに限られる。しかし、これが子ども、それも小学生までだったら話は別で、十分スペースがあると言っても良い。

2列目は前後に130mmスライドするから、通常3列目を使わない時は一番後ろまでスライドさせておけば、快適な空間を作り出すことが出来る。因みにバックレストは40:20:40で折りたたむことが出来るが、スライトの方はその20の部分が片方の40にくっついた60:40で動く。

驚かされたのは、ディーゼルのスムーズさだけではなかった。昨年初めて乗ったFWD、BMWのアクティブツアラーでは、路面から伝わるステアリングのインフォメーションが希薄に感じたが、今回のモデルではFWDであるということを認識させられる状況がほとんどなかった。さすがにこれはFR? というわけにはいかないが、最早駆動方式などどうでもよいレベルまで運動性能が高められていて、ファミリーを持ちながらもちょいとやんちゃな走りがしたいオトーサンも十分に納得するハンドリングを持っている。

JC08モードの燃費は21.3km/リットル。2リットルの排気量を考えれば十分な数値だし、過去の経験からBMWのディーゼルはかなりJC08モードと実燃費が近いので、経済性の面でも期待できる。イニシャルの販売では8割近くがディーゼルだそうで、今や日本市場でも常用ディーゼルはしっかりと根付きつつあることを実感する。その太いトルクによる乗り易さは、一度味わってしまうと後戻りできない。一度体験して欲しいものだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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