日本ミシュランタイヤは7月7日、長野県松本市のアルプス運輸建設で、シングルタイヤ『X one』の装着事例を公開。「貨物積載量の増加や輸送コスト削減、メンテナンスのシンプル化などのメリットがある」という現場の声があった。32枚の写真とともにその特徴を見ていこう。
2000年に北米で初めて発売されたX oneは、7年後の2007年に日本に上陸。トラックは一般的に、駆動軸(後輪)に2つのタイヤが合体した「複輪」を持つが、その2本のタイヤをひとつにまとめ、駆動軸のタイヤ数を半分にできるというもの。
「長野県内で排出される木材チップの輸送に着手したが、1台のトラックで木材チップだけじゃなく、それ以外のモノも運ぶことで積載効率を上げたかった。そんなとき、X oneに出会った」と話すのは、アルプス運輸建設・代表取締役社長の上嶋金司氏。
「今回、X oneを導入することで、積載効率向上をはじめ、積載量拡大や低燃費性能、輸送コスト削減にも期待している」(上嶋氏)
シングルタイヤが積載量拡大に貢献する理由について、日本ミシュランタイヤ・トラックバスタイヤ事業部マネージャーの尾根山純一氏はこう説明する。
「シングルタイヤによって1軸で100kgの軽量化を達成できる。駆動軸が2軸あれば、200kg軽くなるので、そのぶん積載量を増やせる。特に積載量が売上に直結するユーザーにはメリットがある」(尾根山氏)
クルマを軽くすると、積載量が増える。全日本トラック協会によると、「最大積載量」は車両総重量から車両重量と乗車定員の重さを引いた数で、最大積載量=車両総重量-(車両重量+乗車定員×55kg)という式で算出されるという。
「大型トラックは、法律で『車両総重量』は通常20トン(最大で25トン)と決められているから、車両重量と乗車定員が決まれば自ずと最大積載量が求まる。平ボディはウィングボディに比べて架装の重量が軽いので、そのぶん荷物を多く積むことができる」(全日本トラック協会)
今回、公開されたアルプス運輸建設のX one装着車は6月に登録された日野製の新車で、「信州地区初のX one装着車」という。木材チップをトラックの真上から流し込めるよう、天井部分を常時オープンとしたオリジナルの架装が付いていた。同社スタッフは「この架装やX oneタイヤで軽量化を図った。積載量をいかに増やすかがカギ」とも話していた。