【フォード フォーカス 試乗】ベストセラーカー再考で見えた「真のグローバルモデル」…森口将之

試乗記 輸入車
フォード フォーカス
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世界の総人口は約72億人。そのうち約6割がアジアにいることを、皆さんは知っているだろうか。ちなみに多くのクルマ好きが尊敬の気持ちを捧げるヨーロッパは、約1割に過ぎない。

だから世界のベストセラーカーのランキングとヨーロッパのそれとは一致しないことが多い。2013年にいちばん売れたクルマとなったフォード『フォーカス』は、2014年のランキングでも2位に入ったという。トヨタ『カローラ』の下ではあるが、フォルクスワーゲン『ゴルフ』より上だ。

我が国の輸入車シーンでは、必ずしもメジャープレーヤーとは言えないフォーカスが、なぜ高い評価を集めるのか。ヨーロッパとアメリカという、現在の自動車を産み育てた両極に拠点を持ち、双方の英知を投入しつつ、「ワンフォード」の号令のもとグローバルで通用する車種を送り出すという、稀有なる開発体制にあるのではないかと思っている。つまり数ある輸入車の中でも、もっとも日本をはじめとするアジアのことを考えた1台。久しぶりにフォーカスに接して、そういう感じを抱いた。

世界のトレンドでもあるダイナミックなフォルムをまといつつ、キャビンの広さはこのクラスでトップレベルというパッケージングは、さすが実用車の父フォード。似たようなスタイリングを持つ同クラスのプレミアムブランドが、かなり窮屈な室内になっているのとは対照的だ。

日本仕様のエンジンは2リットルの直列4気筒。ストップ&ゴーが多く、平均速度が低い我が国では、アイドリングのすぐ上からなだらかに力を発揮する自然吸気方式がありがたい。それに過去の経験から言えば、ダウンサイジングターボは欧州ほど燃費が伸びない。日本の道路状況を考えてこのエンジンをチョイスしたのではないか。

初代でこのクラスの基準を書き換えたハンドリングの良さは、歴代フォーカスでも健在。しかも現行型は乗り心地まで快適になった。日本のスピードレンジの中でも旨味がしっかり味わえる。真のグローバルモデルとは。その答えをフォーカスに教えてもらったような気がした。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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