【インタビュー】フェラーリのモータースポーツ部門を率いる「コルセ・クリエンティ」とは

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フェラーリ・レーシング・デイズ富士2015
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  • フェラーリ コルセ・クリエンティ責任者のアントネッロ・コレッタ氏
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4月25日から26日にかけて、「フェラーリ・レーシング・デイズ富士2015」が開催された。このイベントではF1クリエンティやFXXプログラム、フェラーリチャレンジなどが行われたことから、本国から「コルセ・クリエンティ」の面々が来日した。そもそも「コルセ・クリエンティ」とはどのような部署で、どのような活動をしているのか。責任者であるアントネッロ・コレッタ氏に話を聞いた。

◆F1以外のモータースポーツを担う

----:まず、コルセ・クリエンティとはどういう仕事をしているところなのかを教えてください。

アントネッロ・コレッタ氏(以下敬称略):コルセ・クリエンティは、F1以外のモータースポーツ活動のプログラムを一貫して管理、実施している部署です。

具体的には、まずフェラーリチャレンジがあります。現在、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの3つの地域でチャレンジのレースの運営をしています。

次にXXプログラム。これは、『FXX』、それから、『599XX』、2015年からは『FXX K』などサーキット専用車を走行させるプログラムです。

そして、過去のF1の管理をしているF1クリエンティの運営です。また、ピロタフェラーリというドライビングスクールの実施もしている他、『458』などを使ったWEC(FIA世界耐久選手権)など、エンデュランスレースを含めたGTレース全てのサポートをしています。

----:コルセ・クリエンティという組織は何人で運営しているのですか?

コレッタ:メカニックを含めて60名です。すごく効率が良いんですよ(笑)。

----:フェラーリとモータースポーツは切っても切れない関係ですから、とても重要な部署で、しかも勝たなければいけないので、責任は重大ですね。

コレッタ:仰る通りフェラーリとモータースポーツは非常に密接な関係がありますし、勝つことは非常に重要です。特にGTレースでは、結果は重要です。幸いにも2014年は実績が良く、チーム全体も我々も誇りに思っており、結果に満足しています。

2015年のGTでは、458のチャンピオンシップ最後の年になり、来年からは『488』が参戦することになります。

◆レースとコルセ・クリエンティ

----:フェラーリチャレンジでは、レース自体の運営と、ユーザーのチームサポートやクルマのメンテナンスの部分と両方があると思いますが、どちらもコルセ・クリエンティの仕事なのですか?

コレッタ:フェラーリチャレンジは、フェラーリの統括の下にクルマを管理するメカニックなどのチームと、チーム全体を管理するスタッフがいます。そして、そこに直接お客様と(クルマの購入などの)やり取りをする正規ディーラーも関係してきます。このディーラーはお客様の窓口になるだけですので、実際にサーキットで行われること全てに関してはコルセ・クリエンティ側の責任、統括になります。つまり、イベントの運営も、お客様の技術的な面倒も見ているのです。

現在ワンメイクレースを実施しているメーカーは多いですが、そこと一番の違いは、イベント自体の運営、技術的なサポート全て、つまりワンメイクレースのモータースポーツ活動全てを取り仕切っているのがコルセ・クリエンティだということです。おそらくそこが他と一番違うところでしょう。

----:そうすると、ワンメイクレースで使われているクルマそのものの開発もコルセ・クリエンティで行っているのですか。

コレッタ:その通りです。

----:因みにLMGTカテゴリーのクルマの開発もコルセ・クリエンティですか?

コレッタ:その通りで、LMGT車両の開発自体も、コルセ・クリエンティが全て行っており、車両の開発をしてそれをお客様に販売しています。我々の中で一番重要なチャンピオンシップがエンデュランスレースです。今年もWECが10月に日本で予定されており、AFコルセというチームで参戦しています。

◆走るためのコンディションを保つ

----:では、オリジナルコンディションの認定等を行っているフェラーリクラシケとの関係はどのようになっているのでしょう。

コレッタ:レストアや、認定作業に関してはクラシケが行っています。5から6年前まではコルセ・クリエンティが関わっていましたが、現在は完全に部署として分かれています。

----:コルセ・クリエンティはF1を走らせていますが、そこにクラシケは関係していないのですか?

コレッタ:F1に関して我々は過去のモデルを走らせていますが、現代の技術も使って走行出来る状態にしているので、我々の中ではいわゆるヒストリックカーという認識ではありません。どちらかというと、クラシケで管轄している車両というのは、通常の公道を走るクルマという認識なのです。我々はレース車両、クラシケは公道で走れるクルマと分けて考えています。

----:因みにコルセ・クリエンティで管理しているF1は何台くらいでしょう。

コレッタ:少なくとも世界中で70台くらいを管理しています。

----:では最後に、日本と他の国のお客様を比較すると、何か特徴はありますか?

コレッタ:そうですね、日本のお客様はとても情熱的であり、本当にフェラーリが好きな方が多いです。そして特に控えめで、プライバシーを大事にする方が多いので、そういった方々に心地よくイベントを楽しんでもらえるかが、我々にとってとても重要になります。

フェラーリブランドを愛してくれているお客様に、いかに心地よい環境を提供出来るかがイベントを通じてとても強く感じたことです。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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