【上海モーターショー15】「自動運転用地図は中国でこそ必要だ」KOTEI朱董事長が語る普及へのビジョン

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朱董事長(上海モーターショー15)
  • 朱董事長(上海モーターショー15)
  • 光庭ブース(上海モーターショー15)
  • 自動運転実験車(上海モーターショー15)
  • 光庭ブース(上海モーターショー15)
  • 光庭ブース(上海モーターショー15)
  • 自動運転技術の展示(上海モーターショー15)
  • 光庭ブース(上海モーターショー15)
  • 車載機器(上海モーターショー15)

中国・武漢市の企業、KOTEI(光庭)が、上海モーターショー2015に出展した。

KOTEIは位置情報サービスを中心に、カーエレクトロニクス・ソフト開発、政府向けLBS(ロケーション・ベース・サービス)ソリューション提供、その他ソフトウェアに関するアウトソーシング業務となどを行っている。そんな位置情報とカーエレクトロニクスに特化した企業が、中国国内の自動運転用の高精度地図制作に取り組んでいる。ブース内では自動運転実験用の車両や映像などが展示されていた。ザナビィなど日系企業での経歴もあるKOTEI朱(Dunyao Zhu)董事長に中国での自動運転技術の状況と新技術に取り組むKOTEIの戦略を聞いた。(インタビュアーは三浦和也レスポンス編集長・まとめ関航介)

ー:アメリカ・シリコンバレーを発信源として、自動車業界では自動運転の技術開発や議論が盛んだ。中国での状況をどうみているか。

朱董事長(以下朱):日本やアメリカと違い、中国政府は大々的に自動運転推進というようなことを発表していない。しかし実際には、自動運転技術研究に補助金が出るなど、見えないところではしっかりと動いている。特に中国カーメーカーは自動運転の研究開発にかなり力を入れている。このモーターショーでも上海汽車は自動運転車の展示を行っているはずだ。じつは中国国内での自動運転の需要というものはかなり高い。ひとつ目の理由は、交通事故の多さ。今、交通事故の死亡者は毎年大変多く8万人とも言われ、大きな社会問題となっている。ふたつ目の理由は、運転マナーの悪さ。中国では、日本やアメリカとは比べられないほど短期間で自動車が普及した。普及に比較してドライバーの運転マナー教育が追いつかず、他の国の人からは「中国人の運転マナーは悪い」となってしまっている。交通事故の多さも、ドライバーの未熟さに関連する。教育に力を入れるのは当然だが、自動運転、高度運転支援という最新技術を使い、この問題を解決することができると考えている。

ー:自動運転技術はどのように中国社会に浸透すると思うか。

朱:自動運転、というと無人運転と勘違いしてしまう人が多いがイコールではない。もちろん、無人運転は自動運転の究極としてゴールにあるものだが、すでに実用化されている衝突被害軽減ブレーキなども、自動運転技術のひとつ。中国で受け入れられるためには、自動運転は安全のための技術という切り口が必要だ。中国は一人っ子政策により命はお金ではかれない価値がある。人間の反応速度は最新のコンピュータに敵わないし、眠い時もあれば疲れている時もある。そんな時に、その「溝」を埋め、人を守る技術が自動運転技術だ。もちろん、センサーや車載カメラである程度の自動運転は可能だが、その精度を上げるためには、将来必ず高精度地図が必要になる。この道路には車線がいくつあって、現在どこの車線を走っているかの認知が重要だ。小さな範囲ではあるが、私たちはすでに中国国内の高精度地図をつくり、実験を繰り返している。これからは自動運転のセンサーやアルゴリズムを車両に実装する自動車メーカーと協力しながら、車両にフィットした要件の高精度地図をつくっていきたい。安全に深く関わるものだから、カーメーカーとの連携は欠かせないと考えている。

ー:中国全土の高精度地図を提供する立場としてKOTEIに強みは。

朱:KOTEIは中国の道路環境を考慮した、高精度地図の要件と情報処理を熟知している。地図製作の経験も持っていることが強みとなっている。それに加え、ロケータの精度を上げたレーン別誘導のナビエンジンを開発済みだ。地図情報と制御の間を取り持つ、そんな役割を私たちは担える立場にある。最後に重要だと思うのは、実際に中国の道路で実証実験をできる環境が整っていること。実証実験を通じて開発、検証しなければ、クルマの開発の方向性とともに、どのような情報が高精度地図に必要になるかわからない。KOTEIは武漢市の支援を受けながらCECOV(武漢・中国光谷カーエレクトロニクス産業テクニカル・イノベーション・コンソーシアム)の主要メンバーとして東風、デンソー、日立、四維図新、武漢理工大学、武漢交通科技研究院ら内外30社とともに、自動運転含めたカーエレクトロニクス開発における意見交換やワークショップの場で各企業と協調できている。

《関 航介》

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