【WEC 第2戦】アウディがルマン前哨戦を制し2連勝、ポルシェが2-3位…トヨタは最高5位

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優勝の#7 アウディ。
  • 優勝の#7 アウディ。
  • #7 アウディが開幕2連勝を飾った。
  • 表彰式でジャンプして喜びを表現するウイナーたち。左からトレルイエ、ロッテラー、ファスラー。
  • 勝利を喜ぶトレルイエ(#7 アウディ)。
  • LMP1クラスの表彰式。優勝のアウディに続き、2~3位にはポルシェ勢が入った。
  • 2位となった#18 ポルシェ。
  • 予選1-2-3を独占したポルシェ勢を先頭にレーススタート。
  • トヨタ勢は#1が8位、#2が5位という結果だった。

世界耐久選手権(WEC)第2戦のスパ・フランコルシャン6時間レースは、現地2日に決勝を行ない、アウディ7号車がルマン前哨戦を制すとともに開幕2連勝を達成した。ポルシェが2~3位、トヨタは5位が最高だった。

トヨタ、アウディ、ポルシェがワークス参戦している最高峰のLMP1クラスは、予選でポルシェが1-2-3を独占。しかしレースでは序盤に#19 ポルシェが周回遅れの他クラスのマシンとのアクシデントで後退し、#17 ポルシェもペナルティやダンパー交換などでタイムロスを喫してポジションを落とす。そして#18 ポルシェと優勝を争う位置に浮上してきたのは、開幕ウイナーの#7 アウディだった。

熾烈な戦いは6時間レースの後半まで続いたが、最後には3スティントを連続して同じタイヤで走る作戦を採るなどした#7 アウディが勝利。最終的に6時間走って13秒差という接戦を制すこととなった。

#7 アウディのドライバーのひとり、日本での活躍歴も長いブノワ・トレルイエが激闘を振り返る。「最後に3スティントを同じタイヤで行くと聞いた時には、『オー、ノー!』と思ったよ。でも、それこそが勝つチャンスにつながることだったし、そして我々はそれを成し遂げることができたんだ。とてもハッピーな気持ちだし、この厳しいレースにこうやって勝てたのは凄いことだと思うよ」。

LMP1クラスの決勝結果は以下の通り。
1位 #7 アウディ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ)
2位 #18 ポルシェ(R.デュマ/N.ジャニ/M.リーブ)
3位 #17 ポルシェ(T.ベルンハルト/M.ウェバー/B.ハートレー)
4位 #9 アウディ(F.アルバカーキ/M.ボナノミ/R.ラスト)
5位 #2 トヨタ(A.ブルツ/S.サラザン/M.コンウェイ)
6位 #19 ポルシェ(N.ヒュルケンベルグ/E.バンバー/N.タンディ)
7位 #8 アウディ(L.ディグラッシ/L.デュバル/O.ジャービス)
8位 #1 トヨタ(A.デビッドソン/S.ブエミ)

例年、このスパ戦はコース特性的なことも含め、次戦のシリーズ最大イベント「ルマン24時間レース」の前哨戦的意味合いも強い。そのなかで優勝したアウディはルマン6連覇に向けて視界良好といったところか。しかし、現WEC-LMP1参戦2年目のポルシェの躍進も著しい。ルマンでの通算総合優勝回数はポルシェが16勝でトップ、そして2000年の初優勝以降に13勝したアウディが3勝差に急追している状況だが、今年はポルシェが17年ぶりの17勝目で突き放す可能性も出てきた、といえるかもしれない。

ポルシェのLMP1担当副社長であるフリッツ・エンツィンガーはこう語っている。「非常にエキサイティングなレースでした。予期せぬアクシデントもありましたが、2つの表彰台(2&3位)と6位を獲得し、3台すべて完走という目標を達成できました。マシンの信頼性において我々は進歩を遂げることができたのです。ルマンに向けて着実に進んでおり、大きな挑戦に期待を寄せています」。

一方、昨年のWEC王者で、悲願のルマン初優勝を目指すトヨタには厳しいリザルトのスパ戦だった。佐藤俊男チーム代表は「昨年に比べて(自分たちの)ラップタイムは速くなっていましたが、より成果を発揮したアウディやポルシェに挑むには充分ではありませんでした」と語り、さらに「激闘の末に勝利したアウディを称えたいと思います。そしてライバルとのタイムギャップ同様に技術的問題も究明したいと思っています。ル・マン仕様の開発に全力を傾注します」と続けている。大一番に向けての奮起に期待したいところだ。

なお、フリー走行での事故で負傷した中嶋一貴(#1 トヨタ)のその後の状況に関してはトヨタから1日の時点で以下のような発表があった。

「(事故から)一夜明けた5月1日、中嶋は(入院中のベルギーの病院に)見舞いに訪れたチーム関係者に元気な笑顔を見せてくれました。背骨の骨折個所はクラスターで固定され、ベッドに寝た状態ですが、脊髄にはまったく損傷はなく、神経系の障害が残る心配もまったくありません。骨折個所の回復には動かないことが重要で、この週末は病院のベッドでチームメイトの戦いを応援することになります。今は一日でも早い回復を目指して治療に専念しています」。

WEC第2戦のLMP2、LMGTE-Pro、LMGTE-Amの各クラスの優勝は以下の通り。
LMP2 #38 Gibson 015S-Nissan(S.ドラン/M.エバンス/H.ティンクネル)
LMGTE-Pro #99 アストンマーティン(A.マクドウェル/F.リース/R.スタナウェイ)
LMGTE-Am #98 アストンマーティン(P.ダララナ/P.ラミー/M.ラウダ)

次戦はルマン24時間。5月31日にはテストデーがあり、レースウイークは6月第2週、10~11日が予選、そして13~14日が決勝という日程になる。LMP1クラスには日産(3台)も登場する予定になっており、日独4メーカー、計11台(トヨタのみ2台の予定)が最前線で競うという、華々しい構図の戦いになる。

《遠藤俊幸》

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