スタートアップか企業内事業開発か…新規事業を成功させる人的交流術とは

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4月22日、博報堂にてマーケティング・イノベーター研究会が開催された。研究会テーマは「新しい発想を生み出すためのイノベーティブマネージメント 創造的編集と場づくりのノウハウを探る」。
  • 4月22日、博報堂にてマーケティング・イノベーター研究会が開催された。研究会テーマは「新しい発想を生み出すためのイノベーティブマネージメント 創造的編集と場づくりのノウハウを探る」。
  • 博報堂MD統括局コミュニケーションデザイン部ストラテジックプラニングディレクター 岡弘子氏
  • 左から、News Picks取締役兼編集長の佐々木紀彦氏・慶應義塾大学経済学部教授武山政直氏・博報堂ブランドイノベーションデザイン局ストラテジックプランニングディレクター岩嵜博論氏。
  • NewsPicks取締役兼編集長の佐々木紀彦氏
  • NewsPicks取締役兼編集長の佐々木紀彦氏
  • 博報堂ブランド・イノベーションデザイン局ストラテジックプラニングディレクター岩嵜博論氏
  • 博報堂ブランド・イノベーションデザイン局ストラテジックプラニングディレクター岩嵜博論氏
  • 博報堂ブランド・イノベーションデザイン局ストラテジックプラニングディレクター岩嵜博論氏

4月22日、博報堂にてマーケティング・イノベーター研究会が開催された。研究会テーマは「新しい発想を生み出すためのイノベーティブマネージメント 創造的編集と場づくりのノウハウを探る」。

「バカだなって言われそうなアイデア 会社には話す場所がどこにもない」

博報堂マーケティング・イノベーター研究会はその発起人、企画担当の岡弘子氏(博報堂MD統括局コミュニケーションデザイン部ストラテジックプラニングディレクター)が同会を始めた理由を語るところから始まった。

「あるマーケティング研修をしていた際に受講生の一人から、『こんな楽しい研修ははじめて』と言っていただいたのです。私が、研修で楽しいっていうのはどういうことでしょうかと尋ねると『バカだなって言われるようなアイデアを、話す場所が他にはどこにもないんです、会社ではいろいろ提案しても却下されてしまう』という答えが返ってきたのです。博報堂では毎回バカみたいなアイデアも20から100こくらい持ってこいと言われるのですが、そう言ってくださった方の所属する企業の、研究開発部門ではいつも根回しして事前に勝負づいたアイデアしか上げられないということでした。そのときに、これで本当にいいのだろうか、という想いが沸々と湧いてきたのです」

そんな折にNewsPicks取締役兼編集長の佐々木紀彦氏と、「現状では革新を起こすのは個人には多いが企業の中では少ない。しかし企業の中にこそ革新を起こす人が増えていかなければならないのでは」と話しあい、“サラリーマンイノベーション”なるものを創出するべく同会の立ち上げを始めたという。

◆アイデアを実行する  “人”との関わり方のヒント

今回は佐々木氏の他、慶應義塾大学経済学部教授武山政直氏、博報堂ブランドイノベーションデザイン局ストラテジックプランニングディレクター岩嵜博論氏が講演を行った。各登壇者は新しいアイデアを発想するために大切だと考えることをそれぞれが共有したが、その中で、発案されたアイデアをカタチにするときの“人と人との関わり方”をうまく整えなければならないことが課題として挙げられた。

パネルディスカッションの場で、モデレーターを務めた岡氏はこの“人と人との関わり方”について各登壇者に意見を聞いた。

「かのビジョナリーカンパニー(ジム・コリンズ著)の中でも“誰とおなじバスに乗るか”の重要性が指摘されたように、実現したい構想があっても、人の組み合わせによってその実現の成否が左右されてしまうと言われます。人と人の組み合わせについてなにか示唆があれば、教えていただけますか」(岡氏)

◆スタートアップでは「ビジョン共有」、大企業では「肉体的見聞」

これに対し佐々木氏は自身のスタートアップでの経験を話しつつ、ビジョンを共有することが大切である、と回答する。

「スタートアップのよいところの一つに、誰とバスに乗るかを選べるというところがあるとは思います。ただ、選ぶ際に能力とかよりも目指すビジョンが一致することがやはり重要ではないかと思います。逆に実行の部分が優れているから組むようにした場合は、どこかで見ている部分が違って途中で頓挫することがおおいのではないかと思います。」(佐々木氏)

大企業での経験の長い、博報堂の岩嵜氏は多様な人材同士をつなぐものとして具体的なモノや媒体、肉体的見聞を共有することが有効なのでは、と意見した。

「大企業は人を選べないかというとそういう側面はありますよね。私はどちらかというと大企業の方々を横目で見て実感があります。ただ、そういった多様な人同士でも、具体なものを媒介として新しいつながりを得ることはできると思っています。具体なものがあると人ってそれが媒体物になってつながりやすくなるとおもっていて、それは我々と企業さんの間でも起こり得ています。ビジュアルやモノで示すと分かり合える」と述べ、最近企業が、社員寮や運動会を復活させていたりいるのも具体的な媒体になっているのでは、と指摘する。

さらに岩嵜氏自身の取り組みからの示唆も共有された。

「最近わたくし自身、“旅”に一緒にいこうという活動をしていて。どこか旅にいくことで肉体的な見聞、つまり触ったり食べたり見たりする行為を一緒にしていくことを通じて、メンバーを自由に選べない大企業のような環境下においてもなにか共通のビジョンや目指すべき方向感がつかめてくることがあるのではないか。」

この他、武山氏は、岩嵜氏の企業内でアイデアを実現した過程でおきた経験談にたいして「企業のなかで“面白いことをしていく人”たちは、ハッカースピリットがあると感じている。正当なやり方ですると拒否されることにもうまく対処してやり通していく力が効いているのでは」とまとめた。

《北原 梨津子》

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