【SUPER GT】体制強化のAudi Team Hitotsuyama、開幕戦でGT300クラス3位に

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15年シーズンのGT300を戦うAudi Team Hitotsuyama陣営。
  • 15年シーズンのGT300を戦うAudi Team Hitotsuyama陣営。
  • 開幕戦はGT300クラスの10番グリッド発進だったAudi Team Hitotsuyama(カーナンバーは#21)。
  • #21 Audi R8 LMS ultra
  • #21 Audi R8 LMS ultra
  • 欧州の強豪WRTとのコラボで、Audi Team Hitotsuyamaは体制を強化した。
  • Audi Team Hitotsuyamaのドライバーは今季も藤井とライアン。
  • 開幕戦では決勝3位となる。
  • R8は濡れた路面で抜群の安定感を発揮した。

SUPER GTシリーズのGT300クラスに2012年からアウディでの参戦を続けている「Audi Team Hitotsuyama」が、一層の体制強化を経て臨んだ今季開幕戦で3位表彰台を獲得、幸先の良いスタートを切っている。

ドイツメーカーおよびドイツ車インポーターによるドイツ車使用チームへのサポート強化、これは近年のGT300クラスのトレンドだ。外国人スタッフの数も各陣営で増え、GT300は今や世界戦の如きハイレベル化とハイステータス化を果たしてもいる。Audi Team Hitotsuyamaも従来から本国のレース部門「Audi Sport」、そして日本法人である「Audi Japan」からのサポートを受けて戦ってきたチームだが、それに加えて今季は欧州のアウディ系強豪チームとのコラボレーションを実現、一段とグレードアップした体制で15年シーズンの開幕を迎えた。

共同戦線を張るのは、欧州のハコ系トップシリーズといえる「ブランパン GT シリーズ」でタイトルを獲得するなどしてきた、ベルギーの「W-Racing Team(WRT)」。今季はWRTからAudi Team Hitotsuyamaにエンジニアらが派遣され、コラボレーションチームとしてGT300を戦う。

日本のレースをよく知るAudi Team Hitotsuyamaと、参戦マシン「アウディR8 LMS ultra」を熟知するWRTとの融合は、開幕前のテストからドライバー、チームスタッフらに自信をもたらすものであった。そして迎えた開幕戦では、それがいきなり結果にも反映されることとなる。雨絡みの難しいコンディションとなった決勝レース(4月5日/岡山国際サーキット)、予選10位からのスタートだったAudi Team Hitotsuyamaの#21 Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン&藤井誠暢=とものぶ)は序盤のうちに3位へと浮上し、最終的にもその順位でゴール、表彰台を獲得したのである。

今季もコンビを組むライアンと藤井が、チームの進化をさっそく結果で証明した。もちろん、「スタビリティが高く、ブレーキングもいいR8は雨(滑る路面)なら他車より有利」との旨を彼ら自身が戦前に語っていた通り、状況が味方した、という側面も大きい。だがそれだけで得た3位ではなかった。藤井はレース直後、「タイヤ選択を含めて、ドライバーもチームもミスをしなかった」と語っている。レースにはタイヤの種類等に関する規則もあるわけだが、「今回ある道具のなかでパーフェクトなレースができたと思います」。内容もしっかり伴っていたからこそ、チャンスを活かせた、そういう3位だったのだ。

さらに藤井は「今年の僕たちは強いチームだと感じています。次の富士はマシン的に得意とはいえないコースですが、1点でも2点でもシリーズポイントを獲れるように頑張ります」と続け、充実感を滲ませた。コース相性的には「ブレーキングとターンインの動きがいいR8は岡山も向いていますけど、最終戦の舞台であるツインリンクもてぎも合います。現行のR8 LMSで有終の美を飾れるんじゃないか、と思っています」との展望も語っている(来季GT300には新型R8 LMSが投入される予定)。

ライアンは次戦以降に向け、「(コース相性の問題はあるが)次は2位、あるいは1位とステップを上がっていければベストだ。でも、まずは着実に、リスクを抱え込まないようなレースをしていきたい」と、シリーズ上位進出を意識したコメントだった。GT500、そしてフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)でタイトルを獲得した経験をもつ彼にも、今季は相当な手応えがある様子。

藤井は「今年はWRTとの提携で(チーム無線が原則的に)全部、英語になりました(笑)。僕にはいい勉強にもなっています」とも言う。そして「(ハイレベルな)ブランパンであれだけの結果を残しているチームですし、データもノウハウもすごく豊富。R8をよく知っているので、R8の良さをさらに伸ばすセッティングにしてくれています。2年目のヨコハマタイヤさんとのパートナーシップもうまくいっていますしね」と、「今年の僕たちは強い」の裏付けを語る。WRTとヨコハマとの信頼関係もすでに確立されているそうだ。

Audi Team Hitotsuyamaの強化要素はまだあり、長距離ラウンドの第2戦富士500kmと第5戦鈴鹿1000kmではAudi Sportのファクトリードライバー、ステファン・オルテリが第3ドライバーとして参画する予定。コース相性的には厳しさもある富士での次戦だが、やはり注目を集めることとなりそうなAudi Team Hitotsuyamaであり、シリーズを通じての戦いぶりにも注視すべき存在となってきたようだ。

SUPER GT第2戦は5月2~3日に富士スピードウェイで開催される。

《遠藤俊幸》

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