バンコク国際モーターショーで一際人気が高かった車種、それがトヨタのミニバン『アルファード』/『ヴェルファイア』だ。タイ国内でもアルファードは人気車となっており、初代から多くが並行輸入されていたほど。会場内では早くも並行輸入されたその「新型車」も勢揃いした。
アルファードがタイ国内で富裕層の間で人気が高いとは以前から知らされていた。事実、バンコク市内で走りゆく車両を見ていると、ピックアップやタクシーの中に混じって、アルファードを結構の頻度で見かける。その頻度は日本とさほど違いがないような印象すら受けたほどだ。
ところが、その車両価格を聞いて驚いた。なんとタイ国内で販売されていた2代目アルファードは333.9万~409.9万バーツ(日本円で1235万~1516万円)もするのだ。これは並行輸入車の話ではない。トヨタが正式に日本から輸入した車両価格なのだ。
実はタイ国内にASEAN諸国外から車両を輸入する場合、高率な関税が課せられる。乗用車の場合、輸入関税は80%!これに排気量に応じた物品税が35%~48%、地方税が10%、付加価値税7%が加えられる。これらによって日本では考えられない販売価格が設定されてしまっているのだ。
それでもアルファードは、初代から中国やアジア諸国を中心に、ステータス性の高いミニバンとして富裕層で高く支持されてきた。トヨタはそんな事情を踏まえ、タイでも2代目から正式輸入することにしたが、その台数は限定的で、とても需要には追いついていなかったのだという。
そして、3代目では従来のアルファードに加えてヴェルファイアも追加。3月24日より正式な受注を開始した。両車はASEANエリア初の公開となり、会場では常に人だかりが出来るほどの人気ぶりだった。今回も日本からの輸入となるため、販売価格はさらに高くなって399.9万~464.9万バーツ(約1251万~1711万円)と設定。年間700台を販売するとした。
この販売台数についてタイの自動車事情に詳しい人の話では「この台数ではとても需要に応えられない。並行輸入は今後も一定数維持されていくだろう」という。並行輸入された車両は、正式に輸入されたものよりも高く設定されるのが一般的で、それでも売れるのはアルファードのステータス性に他ならぬ魅力を感じている富裕層が多いからに他ならない。
そして、場所をカーオーディオ関連ブースに移すと、そこには早くも新型アルファード/ヴェルファイアが並ぶ。各車両ともドレスアップで造り込まれ、正式に輸入されたものではないことは明らかだ。案の定、リアウインドウには日本の排気ガス規制に適合したステッカーが貼られたまま。タイではこのステッカーでさえもステータスの表れとされているようで、これに似せたステッカーもカー用品店で販売されているほど。アルファードのステータス性はこんなところにも商売につながっているわけだ。
車両価格ではメルセデスベンツやBMWといったプレミアムカーとほとんど変わらない。新たにラインアップにヴェルファイアが加わったことで、アルファード/ヴェルファイアのステータス性はますます高まりそうな予感さえ感じさせる。