2014年に『インプレッサ』から独立させたモデルとして登場したのが『WRX』シリーズ。最高峰のSTIグレードは、2リットルターボで308馬力の高出力を発生する。
試乗を行ったのは箱根ターンパイク。この道路は料金所から一気に上り坂となるが、WRX STIはこの上り勾配を感じさせないパワーを感じる。考えてもみてほしい300馬力のパワーがスバルお得意のAWD(4WD)で効率よくタイヤに配分されているのだから、当たり前といえば当たり前なのだ。
6速のマニュアルミッションはクイックで確実性のあるもの。センターのニュートラルが明確な位置にあるので各ギヤのポジションがわかりやすい。エンジン出力の関係もあり、クラッチは若干の重さを伴うが、けっして操作が辛い重さではないし、もちろんフリクションも少なくスムーズに操作できる。
トルクがしっかりとあるエンジン特性なので、普通に走るときは早め早めのシフトアップで高いギヤを選んでしまえば意外とフレキシビリティのある走りが可能。5速、6速の守備範囲は広い。
マルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)や、アクティブトルクベクタリング、前後デフに組み込まれたトルセンLSDなどの働きによってコーナリングはスムーズで、かつ高い脱出速度を実現している。この機能を活かし切るにはサーキット走行レベルの速度が必要だろうが、それを体験することは公道でも十分に可能。
こうした決して高級車ではないハイパワーモデルを作り続けるスバルの心意気には感心させられるばかり。決して台数が見込める車種ではない、WRX STIを作り続けていることがスバルの技術力を上げる大きな要因になっていることは間違いない。クルマ好き、走り好きに支持されるモデルを作り続けるスバルに拍手を送りたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。