ホンダが3月30日に発表した軽オープンカー『S660』の開発責任者を務める本田技術研究所の椋本陵LPLは「走りとデザインの部分がとくにこのクルマは尖っている」と語る。
S660はエンジンを車体の真ん中に配置するミッドシップレイアウトを採用している。椋本LPLは「普通の造りではなく、効率も正直良くないので普通のメーカーでは選ばない選択肢。ましては軽の中にわざわざミッドシップというのは…」としながらも、「でもミッドシップにすることによる走りのメリットはめちゃくちゃある」と強調する。
そのメリットとは「まずはフロントの回頭性。フロントにエンジンがなく車体の真ん中にあることで、ミッドシップならではのすっと入る部分がある。またトラクションのかかりやすさ。リアに重いものがあるので、アクセル踏むとすぐにトラクションを効かせられる」と解説。
さらに「デザインにもメリットがある」とも。「フロントにエンジンが無いのでフロントを低くできる。もしフロントにエンジンを積んでいたら、その上に歩行者を保護するためのクラッシャブルゾーンを設けなければいけない。そうすると軽の限られたサイズの中で伸びやかなプロポーションを描けなくなる。だがフロントにエンジンが無いことで、低いフロントを起点にウェッジを効かせられて、本当にスーパーカーのようなプロポーションにすることができた」というわけだ。