国際オートアフターマーケットEXPOの会場で、最近ではめっきり珍しくなった縦型のMTを見つけた。しかもカットモデルである。ゲトラークの下に「NISSAN」の文字が鋳込まれていることから、『GT-R』のトランスミッションだと分かる。
展示していたのはリビルトパーツ大手のジャパンリビルト。同社はリビルトパーツの大手。クルマに使われている色々なアッセンブリーパーツがブース内にズラリと展示されている。
ステアリングラックやドライブシャフト、トランスミッションなどはリビルト品が使われているのは知っていたが、メーターユニットやECU、燃料インジェクターまでリビルトパーツが用意されていると言う。ディストリビューターやキャブレターなどは、新品部品の供給が終了してしまった旧車向けの需要としても高まっているそうだ。
このところ輸入車用のリビルトパーツも増えており、メルセデスベンツ、BMW、VWといったドイツ車やボルボなどの人気車種は対応部品が増えていると言う。ラインナップにない車種でも、引き取ったコアをオーバーホールして対応するケースもあるそうだ。価格は新品のほぼ半額というのがリビルトパーツの相場らしい。
驚いたのは、今や触媒コンバーターまでリビルトされているということだ。触媒はケースの溶接を外して内部のセラミックコアを取り出し、特殊な洗浄液と超音波洗浄を組み合わせて何度も洗浄することで、排気ガスによる表面の汚れを取り除き、排ガス浄化の機能を復活させる。セラミックコアが崩れて壊れてしまっている場合は、海外から安くセラミックコアを入手して元通りに組み立て、リビルトパーツとして出荷するそうだ。
リサイクルは素材レベルまで遡って循環させるためエネルギー消費が少なくない。一方、単なるリユースは中古部品となるが、機械の信頼性や耐久性という点で不安要素が残る。リビルトパーツは欧米でも盛んに利用されている、高効率で合理的な循環システムだ。それに日本ならではのキメ細やかな作業による高品質さが実現できているのだから、日本のリビルトパーツはもっと使われてもいいのではないか。
使い捨てに思われていたような非分解式のパーツさえもリビルトしてしまう同社の技術力は、ものを大事に使うという日本の伝統を感じさせてくれるものだ。