【ダイハツ ムーブカスタム 試乗】下手なコンパクトカーより上質な RSハイパー…青山尚暉

試乗記 国産車
ダイハツ ムーブカスタム RSハイパー
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6代目『ムーブ』はカスタムを先行してデザインされたという。その上で、カスタムをさらに先鋭化させたハイパーグレードを新設定したのが大きな特徴だ。

エクステリアはエアロモデルらしい精悍(せいかん)でワイド感あるスタイリングの演出がカスタムらしさだが、ここで試乗した「カスタムRSハイパー」(ターボモデル)は夜、ヘッドライト回り、グリル下部、フォグランプ回りのLEDまでが大発光するさらにド派手になる顔つきになる。夜、こんな顔が背後に迫ってきたら、思わず道を空けたくなるだろう。

動力性能はもちろん余裕しゃくしゃく。ターボエンジンは出足から中間加速まで、トルキーでパワフル。そしてスムーズだ。ステアリングには親指ひとつでONできる、エンジン回転を低く保つパワーモードを備え、さらなる力強さを引き出すこともできる。

専用スポーツサスペンション、15インチホイール&タイヤを組み合わせたRSの乗り心地はユーザーがカスタムに期待するタイトな締まり感を基本に、カーブなどで姿勢変化最小限のフラットライドが秀逸。これはもう、下手なコンパクトカーより上質かつ快適な乗り味だ。フットワークにしても車両安定装置のVSC&TRCを標準装備し、ハイト系軽自動車最高レベルの安定感を披露してくれるから、活発な走りを試みても安心感は極めて高い。パワステの自然な手応え感あるウルトラスムーズな操舵(そうだ)フィールも特筆すべき点だろう。

加速時、巡行中の静粛性の高さは標準車を上回る。標準車同様、キャビン回りの穴を徹底してふさぐとともに、カスタムは吸音、遮音材をおごっているからだ。

ムーブRSはかつてから大人のマイクロホットハッチ的キャラだったが、その資質をド派手さとともに一段と高めてくれたというわけだ。JC08モード燃費は『ワゴンR カスタムターボ』の27.0km/リットルに対して27.4km/リットルとなる。

ただし、エンジンを回したときのこもり音と、段差乗り越えたときのボコボコした音と振動は先代RSにはなかった要改良点(乗り心地そのものは角の取れた快適感がある)。開発陣もその点について認識しているというから、早期に改善されると思われる。購入前に試乗できるなら、マンホールや段差での足回りのマナーをしっかりチェックしていただきたい。

そうそう、新型ムーブはバックドアが一般的な上部ヒンジ式になっているが、荷室は開口地上高が先代の570mmから650mmに高まったものの、奥行きは325mm~と拡大。後席格納時のフロアの高さは先代の710mmに対して660mmへと逆に低くなった。後席格納時にリヤドアから荷物を乗せやすくなったというわけだ。

もちろん、標準車もそうだが、選ぶべきは5万4000円高でしかない、新たに後退誤発進抑制制御を備えた「スマアシ」付きのSAグレードだろう。それならダウンサイザーも納得の動力性能を備えた、上質安全安心な1台となりうる。カスタムRSハイパー SA(166万8600円)ともなれば、価格が『フィットハイブリッド』並み(168万1700円~)になってしまうが、動力性能の余裕が譲れないなら、標準車のターボX SA(2WD 137万1600円)という、標準車の皮をかぶった「狼」的選択肢もあり、お薦めだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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