【フォード マスタング 試乗】実は伝統の4気筒、野生の持ち味は普遍…森口将之

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フォード マスタング 50イヤーズエディション
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長い歴史を持つクルマのモデルチェンジに立ち会うと、僕たちは必ず前のモデルと比べてどうかを気にする。デビュー51年目を迎えたフォード『マスタング』もそうだった。

新型マスタングは、2.3リットル直列4気筒ターボの「エコブースト」エンジン搭載が話題となっている。でも4気筒マスタングはこれが初ではない。2代目「マスタング2」には当初から存在したし、3代目は5リットルのV8と同等のパワーを出す4気筒ターボを用意。スポーツモデルに積まれた。2.3リットルという排気量を含めて、伝統のメカニズムなのだ。

最高出力は314ps、最大トルクは44.3kgmと、2.3リットルとしてはかなりハイレベル。おかげで1660kgのボディをかなりダイナミックに加速させてくれる。しかも自然吸気の大排気量のようにフレキシブルでもあるので、マスタングらしいゆったりクルージングも似合う。回転感も4気筒としてはスムーズだ。

そのときの音はV8とは違うけれど、サラッとしていたV6と比べれば、かなり野性的な唸り。マスタングに影響されて生まれたトヨタの初代『セリカ』など、1970~80年代の国産4気筒スポーツモデルを思い出した。

歴代初の4輪独立懸架サスペンションと、屈強なモノコックボディの組み合わせは、これまでのマスタングとは別次元の乗り心地を示す。固めながらちゃんと動いてショックを吸収する、今風のフィーリング。ヨーロッパフォードの『フィエスタ』に似ている。

一方のハンドリングは、電動パワーアシストとなったステアリングは自然な切れ味だし、身のこなしは後輪駆動らしい素直なものだが、動きは全般的におおらか。しかしアクセルを強めに踏み込めば、いとも簡単にリアがスライドする。

レベルが低いと評価する人がいるかもしれない。でもフォードジャパンの人に聞いたら、あえてこうしているのだという。変わったのは時代の要請に応えるための部分だけであり、キモは不変。ブレないモデルチェンジだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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