【アウトメカニカ・フランクフルト14】800年の歴史が支える“欧州のへそ”…フランクフルトと見本市

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アウトメカニカ・フランクフルト14
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  • フランクフルト中央駅

世界最大級の国際自動車産業見本市、アウトメカニカ・フランクフルト14が現地時間9月16日に開幕した。今回は70か国を超える国々より4600超の出展企業がブースを展開する。フランクフルトでこのような見本市が開催されることは、非常に大きな意味がある。

◆800年を超える見本市の歴史

会場となるメッセ・フランクフルトは、フランクフルト中心部にほど近い場所に位置する世界最大級の国際見本市会場。総展示面積は47万5000平方メートルと、日本最大級の国際見本市会場である東京国際展示場(8万660平方メートル)をはるかにしのぐ。メッセ・フランクフルトでは、アウトメカニカに加えて、フランクフルトモーターショーやフランクフルト・ブックフェア、ミュージックメッセなど、各ジャンルで世界最大級の展示会が行われている。

フランクフルトの歴史は見本市とともにあるといっても過言ではなく、10世紀半ばの1150年にはすでに見本市が開催されていたという。その後、1240年には皇帝であるフリードリヒ2世が、「テンデンス」と呼ばれる秋の見本市に対して特権を与えたことで、見本市都市としてのフランクフルトの姿は確固たるものとなった。その後、フランクフルトでは見本市ビジネスが一大産業となるが、フランクフルトの置かれた地理的状況と歴史的背景を考えると、必然の結果と言える。

◆欧州以外もターゲットのアウトメカニカ・フランクフルト

アウトメカニカ・フランクフルト14では、4600を超える出展企業のうち、約15%をドイツ系企業が占める。残りは中国、日本を含むアジア、その他の欧州諸国などからの出展が目立つ。日系企業としては、日本国内から13社、欧州現地法人から12社の計25社が出展しており、そのうち半数近くが日本車向けの部品・用品を現地企業に卸す専門商社となっている。

一方で、彼らの主戦場は、必ずしもドイツを中心とした狭い意味での欧州市場というわけではない。多くの場合、ヨーロッパ・ロシアと呼ばれるモスクワやサンクトペテルブルグを含む西側ロシアやトルコ、東欧諸国、アラブ諸国、南欧諸国なども視野に入れられる。

例えば、前回に引き続き2度目の出展となるスナミ産業は、アウトメカニカ・フランクフルトを独自の視点で位置付けている。日系企業である同社が主に扱うのは中国および韓国の部品・用品。担当者が現地で買い付けたものをアフリカ諸国へと展開する。品質は日本基準で保証されるが、市販価格は純正用品の2分の1程度になることから、低所得者層の多いアフリカ諸国では一定の需要があるという。同社はアウトメカニカ・フランクフルトをアフリカ系バイヤーとのマッチングの場としてとらえている。

アウトメカニカ・フランクフルト14では、5日間の会期中で過去最大となる15万人以上の動員が見込まれている。その中には、欧州諸国からの来場はもちろん、アフリカやアラブ諸国、東欧諸国からの来場も少なくない。歴史上常に重要な地理的環境に置かれていたフランクフルトは、欧州における交通や経済の中心地点として「欧州のへそ」と表現されることがある。今後は「自動車産業のへそ」として、さらなる情報発信都市としての役割がフランクフルトには期待される。

《瓜生洋明》

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