IT・ゲーム業界で、転職をキャリアアップに結びつけてくれる「コンシェルジュ」

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志太重利さん
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 IT業界やゲーム業界にいると、転職というのは決して遠い存在ではないだろう。自身を含め、身の回りで転職経験者を探すのは難しくないはずだ。日本においては、転職でキャリアを積んでいける数少ない業種のひとつかもしれない。

 その転職活動においてインターネットは欠かせないツールとなっている。多くの転職支援サイトやサービスがあるが、中には自動化や手軽さを売りにするあまり、なかなか条件の合う企業が紹介されないといった問題も耳にする。

 ワークポートは、そのような転職サイトとは一線を画す意味で、ホスピタリティをコンセプトのひとつに掲げるユニークな会社だ。この会社は、転職コンサルタントを「転職コンシェルジュ」と呼んでいる。転職コンシェルジュは、単に企業を紹介するだけなく、初回の面談時から転職が決まるまで、「おもてなし」の心を大切にひとりひとりに担当者の顔がみえる対応、アドバイスをするという。

 面談の際は、自分が担当する相談者の到着前から待機しており、受付で担当コンシェルジュを呼び出す前に接客し、面談ルームに案内する。終わったあとの送迎もしっかり行うそうだ。また、転職相談の場合、終業時間あと、休日での面談設定も必要となる。このような場合でも、同様な対応をする。休日や時間外だとオフィスビルのフロントは施錠されてしまうので、この場合はビルの外での送迎までしてくれるそうだ。職業紹介事業に関する法律の規定もあるからだが、同社ではオフィス外での面談は行わない。

 「おもてなし」は送迎だけではない、求人企業の紹介やマッチングの支援で、条件の確認や詳細についても親身にヒアリングなどを行い、面接前のアドバイスも場合によっては対面で指導したり相談に乗ることもあるという。さらに、転職コンシェルジュは、ホームページや配布資料(小冊子)で、自身の経歴や趣味などを公開している。相談者の経歴や希望などを一方的に聞きだすだけでなく、自分の情報も公開してお互いの信頼関係を深めるためだ。

 相談者としては、転職サイトに登録した大勢の一人ではなく、専任の担当者がエージェントとしてついてくれている安心感・信頼感が違う。さらに、転職に成功した人のフォローも忘れない。転職後のお祝いメッセージ(社長からくるそうだ)だけでなく、転職コンシェルジュが就業後の様子を確認したり、相談に乗ることもあるという。ワークポート8年目というベテランコンシェルジュの志太重利氏(人材紹介事業部 リーダー)は、次の転職もと、一度担当した人のキャリアアップを継続して支援することもあるそうだ。

 話を聞くと、証券会社等で個人を担当するフィナンシャルアドバイザーやエージェントのような存在である。転職をキャリアアップのステップとするなら、それを戦略的に支援してくれたりもっとも条件のよい企業を探してくれる頼もしい存在がいれば、モチベーションや自信にもつながるだろう。

 とはいうものの、職業紹介事業そのもののパフォーマンスがよくなければ意味はない。ワークポートは、業界では10年以上の実績があり、とくにIT業界、ゲーム業界などエンジニアやクリエイターの求人に強いという。転職コンシェルジュには、SE経験者や業界経験者も多い。その人にあった企業やキャリアについて、豊富な求人リソースの中から最適な企業を選び出す。同社によれば相談者の平均求職期間は3か月前後だという。現職の都合で活動が停止したり、長期の相談になることもあるが、ほとんどが2か月から4か月の間に転職を成功させているという。

 前出志太氏は、45歳のエンジニアの転職を成功させたこともあるという。このときは、相談者が43歳からステップアップを支援していたが、内定をもらっても条件面が折り合わずなかなか決まらなかったという。あきらめず支援を続けたところ、希望の条件の会社がみつかり、年収ともにステップアップできたことを喜んでもらえたそうだ。

 ワークポートでは、一人のコンシェルジュが平均して60人弱を担当するという。それでも平均3か月程度でマッチングを成功させている。このスピード感の背景には、同社がこれまで培ってきた企業リソースやコンシェルジュのスキルがあるわけだが、あまり属人的なスキルや方法に頼ると、担当者によるバラつきが問題になる可能性がある。また、ある程度のスピードを達成するには、ツールやシステムによるサポートも重要となる。

 自動化が可能な部分、ナレッジの共有などには積極的にツールを採り入れている。そのひとつが「eコンシェル」という相談者向けのポータルサイトによるサービスだ。相談者の「マイページ」として機能するものだが、コンシェルジュとのメッセージによる連絡や相談。面談等の予約、そして膨大な求人情報から漏れがないようにする自動ピックアップ機能などを利用できる。

 また、属人的な組織の場合、後継をどう育てるか、新人教育などが課題となることがある。ワークポートでは、新人教育やナレッジの継承・共有にもツールやシステムを導入してこの問題にあたっている。eコンシェルや専用のデータベースによって情報をコンシェルジュ側が共有している。新人教育はOJTよりも研修プログラムを整備して、担当者によって教える内容に偏りがでないようにしている。コンシェルジュを目指す新人は、1か月間「CCトレーング」と呼ばれる現場を想定した研修プログラムを受ける。

 水木英代氏は、2014年度の新卒採用だが、その研修プログラムを一通り終え、8月から現場にでて転職支援を行っている。水木氏はすでに60人ほどの相談者を担当しており、そのうち、現在実際に転職活動をしている15人とサイトや電話などを通じて支援・アドバイスを行っているという。年齢的には相談者のほうが年上だが、相手から質問や意見を求められることもある。現場での活動は1か月ほどだが、すでに1名の転職を成功させている。

 取材の最後に、二人に仕事への取組みや相談者へのメッセージを聞いた。

「自分にあった仕事先を見つけるというのはじつは大変なことなのですが、転職支援サイトや職業紹介について、うまく使えていない人が意外と多いのです。まずは話を聞いてみる、様子を見るというレベルでかまいませんので、もっと気軽に相談してほしいと思っています。」(志太氏)

「みなさんもキャリアやスキルについて自信を持って相談してほしいと思います。その人ごとの強みは必ずあるので、それを探し出すのが私たちの仕事だと思っています。そのためには、私自身ももっと勉強する部分がありますが、みなさんの力になるべく頑張ります。」(水木氏)

と、それぞれの想いを語ってくれた。

消耗しない転職活動……転職コンシェルジュという考え方

《中尾真二@RBB TODAY》

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